一月 結び柳








背中がやけに冷たくて目が覚めた。
寝ている間に布団がずれてしまったらしい、とまだ寝ぼけながら布団をかけ直そうとした時、
それまで腕に抱いていたぬくもりに気がついて思いとどまった。
そういえば、こいつの身体を冷やさないようにわざわざ布団をずらしたんだった。
南郷はアカギを起こさないように気遣いつつ、色白の、愛おしい身体を抱く腕にわずかに力を込めた。
南郷に背を向け、胎児のように丸くなって眠るアカギの首筋には、ところどころ花びらのような鬱血の痕があった。
つけた時には気がつかなかったが、きっと身体じゅうに同じような痕が残っているだろう。
それらをつけたときのアカギの嬌態を思い出して、未だアカギの中に埋まったままの南郷の欲望がドクリと脈打った。

「…ん…」

内部の刺激に小さく声を漏らしたが、起きる気配はない。
南郷は目の前にあるアカギの右肩に残る、ひときわ大きな傷痕に舌を這わせた。
アカギの信念の証。そしてかなりの痛みを与えたであろうそこは、彼の性感帯のひとつでもある。

「ふ…っ」

案の定、そこに触れられると、規則正しかった息が乱れた。
首筋に吸いつきながら乳首を指の腹で押しつぶすように刺激すると、柔らかかったそこはみるみる固くなり、
無駄な肉は一切ついていないわき腹はびくびくと痙攣した。
無意識に南郷から逃れようとする腰をぐいと引き寄せる。
すると内部でいつのまにか固く大きくなっていた楔が、よりいっそう深く打ち込まれることになった。

「あっ…南、郷さん…」

さすがにこれにはアカギも起きたらしい。
ゆっくりと揺さぶられて、吐息は次第に甘いものに変わっていく。
結合部分は昨夜の残滓もあってすでに濡れた音を立てていた。
寝起きらしく敏感な身体の反応に、南郷の動きも力強く激しくアカギを穿ちはじめた。

「あっ…あっ…あっ…」

体勢を入れ替え、正面からアカギの両脚を抱え、腰を深く打ちつけはじめた。
昨夜から何度も入っている狭い内部は蕩けそうに熱くて、欲望でぱんぱんに膨れ上がっている南郷の肉棒をぎゅうぎゅうと締め付けた。今すぐにでも欲望を吐き出したい衝動を何とか我慢して、南郷は腰を打ちつけ続ける。
だが足を限度いっぱいまで開いて南郷を受け入れ、その下で快楽に身を任せ、感じ入った表情で喘いでいるアカギを目にしては、我慢も長続きしそうになかった。

南郷の限界が近いことを察してか、アカギが自分の分身に手を伸ばしたが、南郷がその手を止めた。

「大丈夫だから…後ろだけでいってくれ。その方が恥ずかしいだろう?」

おまえは、恥ずかしいコトが大好きだもんな。
耳の穴に舌を差し入れながらそうささやけば、感じやすい身体はびくりと震えて、中の南郷をきつく締めつけた。

南郷が腰を激しく打ちつける度に、アカギは間断なく甘い声を上げた。
暖房も入れていない室内で、二人とも今や汗だくになっている。
大粒の汗が南郷の鼻を伝っては、アカギの傷だらけの白い腹に落ちてはじけた。
それでも南郷は執拗にアカギの感じる場所を穿ちつづける。

「あんっ…ぁあんっ…」

すでに腹にくっつきそうに反り返っているアカギの先端からは穿たれる度に白濁した液が溢れ、幹を伝って白い茂みを濡らしている。
南郷に抱えられている両脚はびくびくと痙攣していた。絶頂が近い兆しだ。

「あんっ…あんっ…南郷さん、もう…!」

「アカギ…ッ」

アカギの声を合図に、南郷がこれ以上ない速さで腰を打ちこみ、アカギが南郷をこれ以上なく締めつけた。
二人一緒に絶頂への階段を駆け上る。
後に残されたのは欲望を吐き出し'軽くなった'身体と、全力疾走した後のような二人分の荒い息。
南郷は息も整わないうちに、アカギの身体を抱きしめ、汗でしっとりした額にキスをした。

「あけましておめでとう、アカギ」

「…それ、もう言ったよ」

思えば、日付が変わる時にも同じコトをやっていて、繋がっている状態でお互いに言い合ったのだった。

「いいじゃないか、何度言っても。おめでたいことだし」

「何がめでたいんだか」

言い返しながらも、アカギはくっくっと笑っている。南郷の心に幸せがじわじわと広がった。

「一緒に初詣に行きたい」

お伺いをたてるように唇を啄ばめば、啄ばんだ唇がちょっととがった。

「…今この状態でそれを言う?それにオレ夕方から出かけるんだけど」

「じゃあここでおまえを参拝するとするか」

文句を言うアカギの唇をもう一度塞ぐと、南郷は再びアカギの身体をまさぐり始めたのだった。

おわり

後半、南郷さんのテンションがおかしい。いや私のテンションがおかしいのか…。

アカギ部屋