拓海よりはるかに寝汚い啓介は、キッチンから声をかけたくらいでは起きるはずがない。
とりあえず味噌汁と煮物をかけた火だけは弱火にして寝室に向かう。
啓介は案の定、長い手足を布団から半分はみださせた格好で眠っていた。
みるからにだらしない様子だが、野生のライオンが自分のもとでだけはくつろいでいるような、
誇らしいようなくすぐったいような気持ちに、自然と頬がゆるんでくる。

「啓介さん。起きてください」

乱れた金髪をそっとかき上げ、乾いた唇にそっとキスを落すと、
たった今まで寝ていたとは思えない力で腕をつかまれ、拓海はベッドに引きずり込まれた。