ハロウィンの夜
年に一度、死者があの世から戻ってくる日-―万聖節。 「お菓子をくれないといたずらするぞ!」 彼らは町中の戸を叩いて菓子をねだる。もらえない家にはカラースプレーやトイレットペーパー、 「・・・だいたい全部まわったよな。じゃあ帰るか」 大きめの黒いマントを着た少年が仲間に言った。年の頃は10歳くらい、一緒にいる仲間には彼より 「そうねーもう終わりかぁ」 魔女に扮した少女がが残念そうに答える。そこへ、 「いや、まだあの家があるぞ」 小太りのこうもりが異を唱えた。この少年以前はいじめられっこだったが、今のリーダーに こうもりの言葉に、彼らは顔を見合わせた。 「あの家ってあの・・・幽霊屋敷か?」 うっそうとした木々と蔦にかこまれた、昼間でも不気味な家を思い浮かべて、一同はごくりと 「・・・あの家には誰も住んでないんじゃ」 「ママもあそこは空き家だって」 途端に及び腰になった仲間たちだったが、一方ではこんな声もあがった。 「・・・でもあの幽霊屋敷も制覇したっていったら俺達英雄になれるぜ」 だがそう提案する者も自分が行く勇気などさらさらない。子供たちの目はいつしか期待を込めて 仲間たちの無言のプレッシャーに、少年はため息をついた。 「―わかった。偵察に行ってくる」
怖くないといえば嘘になる。 高耶は意を決して、さび付いた門に手をかけた。 呼び鈴らしきものはない。少しためらった後、重厚な木の扉をノックした。 (やっぱり誰もいないのか) 内心ほっとした、その時。
よく叫び声を上げて逃げ出さなかったものだとおもう。
扉はギギィー・・・と軋みながら開き、闇の中に白いものがぼうっと浮かび上がった。 「--ッッ!」
「何か御用ですか?」 しゃべった!高耶は目をいっぱいに見開いたまま、おそるおそる顔を上げると、白いものは 若い男だ。よく見るとなかなか整った顔でもある。さらによく見ると、闇にまぎれてはいるが、 なんだ、人間じゃないか。 「ハロウィンっていったら用は一つだろ。出すもん出すか、それともこの家を犠牲に差し出すのか」 精一杯虚勢を張る高耶に男はああ、と合点がいったように頷いた。 「そういえば今日でしたね。すっかり忘れていました」 何しろさっき着いたばかりだったので、と困惑したように眉を寄せる。
「すみませんが、お菓子を用意するのを忘れていて・・・その代わりといってはなんですが、 高耶はしばらく考えたが、「いいぜ」とうなずいた。 「幽霊屋敷」の廊下を先に立って歩きながら、男は話しかけた。 「私は直江信綱といいます。あなたは?」 「・・・仰木高耶」
よろしく、高耶さん。と男が微笑みかける。
10月ペーパーにかいたもの〜を一部改稿しました。ペーパーではリーダーは別の子供だったんですが、
やっぱり高耶さんは子供のときからリーダーよね!!(>_<) ってかこれじゃわけわからないすよね・・・(^^;) いや、ハロウィンの夜に出会う二人をかきたかったんです(そのままじゃん)。 一応高耶10歳、直江21歳の設定なんですが、これって続くんだろうか・・・(汗)
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