幾度となく遊びに来ているにもかかわらず、誰もいない桃城の家は
知らない家のようだった。
おそらく朝起きてそのまま出てきたのだろう、桃城の部屋。
もっともリョーマが来るとわかっていてもあまり片付けないから、
いつもと変わらないはずなのに。
部屋に入った途端、後ろから抱きすくめられた。首筋に触れる
ひやりとした唇の感触にぴくんと反応する。シャツのボタンをはずしながら
首筋、顎、そして唇にくちづけられる。
「・・・ん・・・ッ」
あっという間に舌を絡めとられ、口腔を貪られる。はだけたシャツの間から
大きな手を差し入れて滑らかな肌をせわしなくまさぐっている。
深い口づけにぼうっとなりながらも、いつになく性急な桃城にリョーマの身体が
小刻みに震えた。
「も・・・も先輩・・・ッ」
ちょっと待って、と唇が離れた間に言ってもすぐ塞がれてしまう。いつの間にか
硬くなった突起を指の腹で転がされ、ひざの力が抜ける。
「もう待ったなしだぜ、越前」
「そ・・・じゃない・・・ベッドに・・・」
ベッドでして。羞恥に消え入りそうな声で懇願する。下肢まで触れられて、もう
立っていられない。耳まで朱に染めて顔を埋めるリョーマにくすりと笑うと、
華奢な身体を軽々と抱き上げてベッドに下ろした。胸の飾りを今度は舌で
愛撫しながら下着ごと下肢を剥く。ざらりとした舌が触れるたびに敏感に跳ねる
身体を押さえつけ、すでに勃ちあがっている分身を口に含んだ。
「アァ・・・ンッ」
リョーマの背が大きくしなった。あらぬところを咥えられ、舐めまわされる恥ずかしさと
それを上回る初めての快感に何も考えられず首を振る。無意識に濡れた声を上げながら
快楽に酔うリョーマの表情を桃城は舌を使いながらじっと見つめた。
「ア・・・ンンッ・・・や・・・も・・・でちゃう・・・ッ」
焦ったように桃城の頭を押しのけようとするが桃城は離れない。イけよ、とばかりに
舌で分身を強く扱く。
「ア・・・桃せんぱ・・・ッ」
ビクンッビクンッと身体が跳ねると同時に口内にリョーマの精が放たれた。
自分の名前を呼びながらイく表情をはじめて見た。いつもの生意気なこの後輩からは
想像もできない、淫らで快楽に素直な表情――
もっと見たい。そんな欲求に突き動かされ、まだ息の整わない身体をかえす。うつぶせに
させ、腰だけを高く上げさせた。
「な・・・に――あんっ・・・!」
獣のような体位を恥ずかしいと思う間もなく、自分でも触れたことのない部分に暖かく
濡れた感触を感じて頬が熱くなった。夕方とはいえ、まだ陽は落ちていない。秘部を
あますところなくみられているだけでなく、ぴちゃぴちゃと音を立てて舐められて、
まだ硬い蕾はぴくぴくと震えた。入り口がほぐれると舌はさらに奥に分け入った。
きたないからやめて、というリョーマの声も無視して内壁の感触を舌で探る。
十分に潤ったとみると、今度は指を差し入れた。
「痛・・・ッ」
行為で初めて与えられる苦痛にリョーマの顔が歪む。ゆっくりと抜き差ししながら、
指で感じる内部の熱さに桃城は目を細めた。せりあがる異物感と、背筋をじわじわと走る
未知の感覚にシーツを握り締めながらじっと耐える背中にくちづけ、指の代わりに
桃城自身をぐっと押し付ける。ビクリと身体を硬くするリョーマの両手を上から包んだ。
「怖いか?」
「・・・っ」
「嫌だっていっても、やめねえからな」
「――いわない・・・ッ」
震えているくせに、リョーマは振り返ると、そう言った。
あんたの全てが手に入るなら、後悔なんてしない。
傷つけたくないとか、今ならまだ引き返せるとか、そんな逃げ道をつくるくらいなら。
いっそ一生消えない傷を残して、その傷ごとオレを愛して。
ひたむきな目で見つめるリョーマに、桃城はたまらなくなってくちづける。口内を深く犯しながら
自身をぐっとリョーマの中に進めた。リョーマの口からくぐもった悲鳴が聞こえる。
「ッ、ア・・・アアア――ッ!」
指とは比べものにならない熱い塊が押し入ってきて、身を裂かれるような苦しさに頭が真っ白になる。
身体を強張らせるリョーマの分身に触れて力を抜かせながら、桃城は奥へと身を進めた。全てを
おさめきると、肩で息をしているリョーマを抱きしめる。
「好きだぜ、越前」
ささやくと、それに応えるようにきゅっと締めつけられる。
ずっとこうしたかった。無愛想な表情の下でいろいろ感じているのは知っているけれど。
何もかもさらけだした素のリョーマを見たかった。その奥底にある熱に触れてみたかった。
今感じているリョーマの内側は燃えるように熱い。その熱をかみ締めるように動き出すと
掠れた声と吐息が漏れた。動きが激しくなるにつれ、それは嬌声へと変わる。
「アッ・・・アンッ・・・桃・・・先輩――ッ」
中に放たれる熱い精を感じながら、リョーマも自身を解放する。身体を離そうとする腰に
足を巻きつけて引きとめ。驚く桃城の首に腕を絡めてキスをねだった。
このひとはオレのもの。キスに夢中になりながら自分の中で再び硬くなり始めているものを
ぎゅっと締め付け、リョーマは広い背中にしがみつく。この身体も心も全部。
今この瞬間、他の誰かの名前を口にされたら自分はきっと気が狂う。
お願いだから、オレだけを見て。オレのことだけを考えて。
身体を繋いでいる間あんたの全てを所有できるなら、ずっとこうしていて。
オレのすべてをあんたにあげるから。だから。
オレを、愛して――
おわり
裏越前屋へ
美樹さま、うちで12240カウント踏んでくださいましてありがとうございましたv
リクは「桃先輩に夢中なリョーマさん」でしたが・・・なんか違いました?(汗)
桃かっこよくなくてすみません〜;;
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