太陽が地球の陰に隠れる時、白銀の月は夜の水面に赤銅色に染まった姿を映し出す。
「あっ…」
綻びかけた蕾を押し広げるように熱く滾った雄が侵入し、白い喉が仰のき弧を描き
甘い声を奏でる震える喉に、捕食者は本能のままに喰らいつく。
無防備な肌に食い込む牙の感触に、鋭い痛みと悦楽を覚え、優美な手が縋るその背にたまらず爪を立てれば
喉を喰らわれ、奥を抉られながら、なだらかな胸の頂にある淡く色づいた果実をつままれる。
男が触れる前は飾りにすぎなかった二つの粒は、幾度も弄られねぶられ食まれるうちに、虐げられる悦びを覚えてしまった。
剛直で媚肉を擦られながら、繊細な指の腹で果実を虐められれば、
未だ甘さを残す若い身体は震えながらしなやかに反り返り
光り輝く白い脚が、毒を纏った透き通る身体に絡みつく。
男が憧れ崇めるみずみずしい肉体は、今は男が与える愛撫に溺れ悶えている。
衣擦れの音、秘めやかな水音、獣じみた荒い吐息さえも官能を煽る調べでしかない。
男の欲望が内部を深く抉る度に、反り返った若い先端からはとめどなく透明な滴が滴り落ちて
「あっ・・・あっ・・・鴆 ・ ・ ・ッ」
あらぬ場所で感じる快楽に戸惑いつつも、その甘美さに酔い堕ちていく。
最後の時を告げるべく、抱え上げられた内腿が小刻みに震えた。
手が届きそうで届かない、壊せそうで壊れない、水面に映る白銀の月は
地の影に隠れ、教え込まれた快楽に溺れ、赤い錆色に染まり
月を覆った錆色は、己の色に染まった主を抱いたまま、東の空へ沈む。
明日の夜にはいつもと変わらぬ白銀の姿を見せるであろう水面の月が、
夜明け前のほんのひと時みせた、艶姿。