後ろから抱きしめて
閨で見せるリクオの表情は、鴆だけの宝物だ。 正面から抱かれるのが一番安心するのか、感じている姿を惜しみなく見せてくれる。 だが、鴆が気に入っている体勢はもう一つある。 「なあ…今度は後ろからしてもいいか…?」 額に張り付いた髪をかきあげながらお願いすれば、リクオはびくりと身体を揺らすものの、 小さく頷いて、獣の体勢をとってくれる。 顔が見えないこの体勢を、リクオは最初は嫌がったが、根気強く、慎重に事を重ねるうちに、 鴆の要望に応えてくれるようになった。 固い筋肉で覆われたしなやかな背中は、成長途中の青さと、どこか危うい艶めかしさがあった。 見た目以上に傷だらけになったはずの白い背には、刺青のような百鬼模様が浮かび上がっている。 両肩のすぐ下、百鬼模様の一番上には、自分の胸にあるものと同じ、毒の模様があった。 その背が動く度に模様も動く。若い大将の背中を目にする度に、鴆は欲情した。 指で後ろを探り、すでにほぐれてぬかるんでいる入り口に、昂ぶりを突き入れる。 「あっ…あぁんっ…」 奥につき進む度に、喉をついて出る甘い声。 浮き出た腰骨を両手でつかんで、ゆっくりと律動を開始する。 鴆の欲望に吸い付くようにきつく締め付けてくる熱い内部に熔かされそうになりながら、 百鬼を率い、人も妖も魅了するリクオを独り占めしている優越感に酔いしれる。 それと同時に、いいところに当たる度に震える背中に、たまらない愛しさを覚えた。 「リクオ…」 鴆は奥を穿ちながら、汗でしっとり濡れた百鬼模様に恭しく口づけると、 自分の胸の模様とリクオの百鬼模様を重ねあわせるように、 ぴったりと覆いかぶさった。 |
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