禁域

 

 

禁忌への誘惑は甘美な香り
秘めやかな罪は蜜の味

 

明かりを消した部室には満月の蒼い光が差し込んでいた。
リョーマは横たわったまま、頭上の天体をぼんやりとみつめる。

「越前君、お口が留守になってるよ」

どこか愉しそうな不二の声に現実に引き戻され、口の中のソレに意識を集中する。

「誰のことを考えていたの?」

聞くまでもない問いを無視して舌を絡める。舌先を使って浮き上がる筋をたどり、
裏側を舐め上げて先端に差し入れる。

「このこと、桃は知らないんだろう?」

穏やかに、しかし深々とリョーマの中に自身を突き入れながら、気遣わしげに
大石が問う。今、触れられたくない話題に、リョーマは拒絶するように目をつぶる。
だがリョーマの気持ちは汲んでもらえなかったらしい。

「彼の様子じゃ、まだ最後までしてないんだろう?大事にされてるじゃない」
「んぅ・・・っ」

口腔を犯すように上下に突き入れながら、不二がおっとりと言う。するとリョーマ自身を
愛撫していた菊丸までもが、

「もったいないにゃ、おちび、こんなにおいしいのに」

といって、幼いながらも勃ちあがりきった分身をぱくっとくわえて、猫のような舌で
再びしゃぶりはじめた。はりつめたそこにざらざらとした熱い刺激を受けて、リョーマは
男根をほおばったまま、くぐもった声を上げて顎を反らせた。

喉の奥まで押し込まれていたソレがすっと抜かれる。急に空虚になった口腔を
もてあまして、何かを追うように濡れた瞳で見上げると、眼鏡をはずした乾の顔が
近づいてくるところだった。

それまでなすがままに揺さぶられ、奉仕していたリョーマの瞳がふと意志の光を
取り戻す。顔を思うさま背け、縛られた両手で乾の顔を押しのけた。

「フェラチオはイイのにキスはだめなのかい?まるで娼婦だね」

淡々と述べる乾の口調には別段、怒りも蔑みもない。ただ客観的に事実を述べただけ
のようだった。
そして今度は乾のモノが押し込まれる。身長に比例した大きさに、リョーマは
ほおばったまま軽くむせた。乾が腰を動かすたびに喉の奥を突かれ、
生理的な涙を流しながらなお奉仕を続ける様子を眺めながら、不二は優雅な指先で
リョーマの胸の飾りを弄ぶ。

「今の君は、きっと桃じゃ満足できないと思うよ」

腰を動かしながらやはり淡々と乾は述べた。

ああ見えて、九割以上の確立で桃は童貞だよ。それにひきかえ、君は複数の男に
犯される快楽を指の先まで知ってしまっている。もはや桃一人の手にはおえない身体だ。

涙に濡れたリョーマの瞳がキッと乾を睨んだ。口腔を出入りしている肉棒に歯を立てる。

「痛・・・ッ!」

予想外の反撃に顔をしかめて自身を引き抜く。

「も・・・も先輩とはこんなこと・・・しない・・・ッ」

離れた乾をなお、きついまなざしで睨みみつけているリョーマの顔の上で、
不二が自分のモノを扱き始める。

「しない?だって、つきあっているんでしょう?」

桃もかわいそうにね。意地悪い揶揄にリョーマは答えずに顔をそむける。

「おイタはだめだよ越前君・・・それともおしおきされたいの?」

タカさん、と不二たちを見ながら後ろの方で扱いていた河村を呼ぶと、彼も不二と同様に
リョーマの顔の上ですでに怒張しきった自身を扱き出した。
同時に、リョーマの後庭を犯していた大石がフィニッシュに向かって激しく突き上げはじめる。
貪られる快感に、 リョーマはたまらず、あられもない声をあげた。

「ア――あんっ、あんっ、あんっ・・・!イク・・・イッちゃう・・・!」

「君の顔を汚してあげる」

その声を合図に、二人の熱い精がリョーマの顔にかけられる。どちらのもとのもつかない
白濁した粘液に顔を汚されることに自虐的な悦びを感じながら、身体の奥を突き上げる
大石をきつく締め上げた。ただでさえ狭い内壁の締め付けに、大石も低い呻き声とともに
欲望を吐き出す。

「大石、次オレね♪」

力を失った大石のモノがずるりと引き出されると、リョーマの精を飲み干した菊丸が
リョーマの中に進入する。中は大石の放ったもので十分濡れているから、いきなり
トップギアだ。

「はっ!・・・あっ・・・あんっ・・・あっ・・・!」

淫らな喘ぎは今度は別の男根で塞がれる。菊丸が達するとまた別の大きさと角度で
突き上げられる。 上の口と下の口を代わる代わるに犯され、分身を咥えられ、もう出ないと
叫びながら抜かれて。過ぎた快楽に、もはや誰に犯されているのかわからなくなる。

複数の男に抱かれる快感。禁忌の味は一度知ってしまったらもう後戻りはできない。
自分はこの先きっとコレなしでは生きていけない。

心が求めているのはたった一人。
でも身体は貪欲に男たちを求めてやまない。

腰や口の感覚がなくなるほど犯されているのに、もうやめてっていわなければならないのに。

「ねぇ・・・次の人、早く来てよ」

自分のものじゃないみたいな淫らな声が行為を促す。だれのものともつかない精液をソコから
滴らせて、もう感覚がないはずの腰を物欲しそうにゆらめかせながら。

「淫乱」

はき捨てるように言いながら乱暴に押し入ってくるのは海堂。

そうだよ、オレは淫乱だから。
乱暴にされればされるほど感じてしまういやらしい人間だから。

あのひとに抱いてもらう資格なんか自分にはない。
この行為が裏切りだってわかっててやめられない自分に――

これは当然の報いなんだ。

だから――部長、そんな目でオレを見ないで。
そんな哀れむような目でオレを見ないで。

堕ちるところまで堕ちた、惨めな自分。
でも同情されるくらいなら、蔑まれ、罵声を浴びせられたほうがよっぽどマシ。

 

あのひとが・・・もしこのことを知ったとしたら。
やっぱりそんな目でオレを見るんだろうか――

 

 

 

委員会の後、まさか誰もいないだろうとおもいつつ部室のドアを開けた桃城は、
明かりの消えた部屋に見慣れた人影を見て仰天した。

「越前!?」

月明かりが窓際のベンチに座っている越前を煌々と照らし出している。後は学ランを
着るばかりの状態で、どこか放心したように両足を投げ出している。
蒼い光のせいか、ぼんやりと桃城を見上げる表情はいつもより艶かしく見えた。

「もしかして俺を待ってたのか?
いつになるかわかんないから先帰れっていったろ?」
「――桃先輩」
「だーっ、しかも窓開けっ放し!いくら面倒でも窓くらい」
「桃先輩」

我知らず早口になっていた桃城の言葉が、ぴたりと止んだ。
窓を閉めていた背中に小さなぬくもりを感じたためだ。

「どうした?越前」

桃城の声が優しくなる。越前から抱きついてくるのははじめてだった。
どうせならと、身体の向きを変えて正面から越前を抱きしめる。
大きな瞳がひたむきに桃城を見つめ、その瞳に引き寄せられるように桃城は
唇を重ねた。二、三度軽く啄ばんだ後、越前は唇を薄く開いて桃城の
舌を迎え入れた。お互いの背に回した手が、徐々に上がる相手の熱を
感じ取る。

「なあ・・・今晩俺の家に来いよ」

越前の形のよい耳たぶを唇に挟みながら桃城が囁く。
甘くかすれた低音――だがそれを聞いた途端、越前は身体を強張らせた。

「越前?」
「・・・やだ」

しばらくの沈黙の後、固い声で越前は拒絶した。
その答えを半ば予想してたのか、桃城はため息をついた。

「ちぇっ・・・まあ、無理強いはしねーけどよ」

初めてだもんな。仕方ねーな、仕方ねーよ。と呟きながら、ちょっとその気に
なってしまった身体を軽く動かして宥めている桃城の背後で、越前はそっと
目を伏せた。

 

おわり
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桃先輩ごめんなさい。リョーマはいやらしい悪い子です・・・。 みたいな話(^^;)
ぢつはOPEN前からかきたかった8Pねた(・・・こんなのを? 爆)