王子様と雪の夜

 

二人分のお茶を入れて部屋に戻ると、先に部屋に行っていた桃城は、
ベッドの下に胡坐をかいて座り込み、カルピンと戯れていた。
カルピンの首に巻かれているのは包装用の赤いリボンだ。
リョーマは湯飲みのひとつを桃城に渡すと、桃城の隣に座った。

「おお、サンキュ」

ずっと外にいたせいで冷たくなった指先が、湯飲みの熱で温まる。

「あったかいなーおまえの部屋」
「そりゃ外に比べれば」

ところでアレ誕生日プレゼントか?と新品のラケットを指さす。

「おまえの一本壊れちまったもんなー」

よかったな、と大きな手がリョーマの頭を撫でた。

「昔、誕生日プレゼントってツリーの下に置いてあるもんだとおもってた」

ははっそれもすげーな、と桃城が笑う。

 

静かな夜だった。BGMもかけていない部屋に不思議な沈黙がおりる。
気まずさはなかった。あるのはお互いがそばにいるという安心感と。
――それと、奇妙な、一種駆け引きめいた緊張感だった。

「越前」

動いたのは桃城の方からだった。すぐ隣にある細い肩を抱き寄せ、
唇を重ねる。リョーマは抗わなかった。むしろ待ち受けていたかのように
唇を薄く開き、桃城の舌を受け入れる。

「・・・クリスマスプレゼント、もらってもいいか?」

わずかに唇を離し、キスで火をつけられた欲望にかすれた声で桃城が
囁く。リョーマは微かに口端を吊り上げる。

「今、あげてるじゃん」

 

 

「・・・ぁ・・・ッ」

耳の後ろを舐められて、リョーマはびくりと体を震わせた。逃れようとする
頭を押さえられ、もっとも弱いその場所を今度は強く吸われて、華奢な身体が
逞しい体の下でしなやかにもがく。同時に不埒な手がシャツの下からもぐりこんで
すでに硬くなっている小さな粒を弄ぶ。触れるたびに反応する敏感さに
ほくそえみながら、唇と舌は耳から首筋、そして顎へと降りてくる。

「やだっ・・・跡つけないで・・・ッ」
「こんなトコ誰も見ないって」

俺以外の奴と柔軟しないかぎりはな。と顎の裏の柔らかい肉を吸い上げる。
胸の飾りを口腔で転がすと、組み敷いた身体がびくびくと跳ねた。空いた手は
吸いつくような肌触りを愉しむようにゆっくりと円を描きながら下降し、わき腹を
撫で上げ、もっとも弱い部分に手を伸ばす。とっくに勃ちあがり、硬くなっている
それは、先端から透明な雫をこぼしていた。手の内に包み込んで扱き上げると
リョーマは甘い声で鳴いた。分身を愛撫する手はみるみるあふれてくる
先走りの蜜で濡れそぼる。

濡れた指先をさらに奥へとしのばせる。双丘の谷間に隠れた秘所の入り口を
軽く撫でると、そこは恥らうようにちいさく震えた。

「んっ…」

中指を入れられて、腕にしがみつくリョーマの指に力がこもった。しかし行為に
慣らされた身体は容易に指を受け入れ、奥に誘い込むように収縮を繰り返す。
熱い内部をゆっくりとかきまわしながら、震える分身を口に含んだ。

「あ・・・先輩・・・っ」

リョーマの顎がくんっとあがる。後ろと前を同時に攻められて、若い身体は
あっという間に上り詰める。

「やっ・・・も・・・でる・・・っ」

固く閉じた目元を赤く染めながらリョーマは息を止め、ぶるっと震えた。
ほどなく桃城の口腔にリョーマの精が放たれる。
荒い息をつきながら脱力した両足を抱え上げ、指を受け入れていた蕾に
自らの怒張をあてがった。

「は・・・ぁ・・・ああ・・・っ」

狭い内壁を、熱い肉棒が押し広げていく圧迫感に、リョーマはたまらず声を
あげる。決して苦痛の呻きではないその声に、押し入ってくるソレもぐんと
体積を増す。ひとつになったその部分を通して、二人はお互いの鼓動を
自分のもの以上に感じていた。

奥まで収めきったところで動きを止め、お互いの顔をじっとみつめる。
キスをねだってきたのはリョーマの方だった。いつもはそっけない、強情な
腕が桃城の首に艶かしくからみついて引き寄せる。深い口づけを交わしながら
動き始める。突き入れる度に、ふさがれたリョーマの口からくぐもった声が
漏れるのをききながら、律動は次第に早く、深いものになっていく。

「っ・・・んっ・・・んんっ・・・・んぅ・・・ッ」

内部を抉られる快感の波に翻弄されながら、リョーマの眉が苦しげに寄る。
静かな室内に響く肉を打ちつける音と、濡れたものが擦れ合う隠微な音、
そしてお互いの熱を孕んだ吐息が二人の快感をさらに煽った。

「あッ・・・桃せんぱ――」

唇を離した途端、苦しげに呼んだリョーマの口を、桃城は大きな手のひらで
やさしくふさぐ。

「ごめんな――おまえの両親に聞かれたら俺、殺されちまうからな・・・」

うっすらと汗を滲ませた額にキスを落とすと、絶頂に向かってはげしく
腰を打ちつけだした。

「――――ッ!」

声にならない悲鳴をあげて堕ちていく。中に熱い精が注ぎ込まれるのを
感じながら、リョーマもまた、自身を解放した。

 

 

「なー・・・もしかして外、雪降ってないか?」
「・・・降ってるんすか・・・?」

ぐったりとしたまま、後始末をされるがままに任せて。さっきから自分と
一緒にベッドの中にいる桃城がふいにそんなことを言い出したので、
リョーマはけだるそうに答えた。

「いや、ここからじゃみえねーけど。でもさっきから全然外の音が
しねーから」

雪がつもると音が吸収されて、いつも以上に静かになる。
先刻までそれどころではなかったが、そう言われればやけに静かだった。
リョーマは眉を寄せた。

「雪だったらやだな」
「ホワイトクリスマスじゃん。朝起きたらきっときれーだぞ」

桃城が珍しくロマンチックなことを口にしたが、リョーマはもっと現実的だった。

「その後どうなるかわかってるんすか。一日コートの雪かきで終わりっすよ」

下手するとランニングに使うコートの周りもだ。さすがにぐっとつまった桃城に
くすくすわらいながら、リョーマは桃城の裸の胸に顔を埋める。

「越前?」
「まだ時間あるでしょ。おやすみ、桃先輩」

テニスができないのは嫌だけど。
こうして朝まで桃先輩といられるのは悪くないかな?
クリスマスの朝――銀世界に変わった景色を最初にこの人とみられるのも、ね。

 

 

 

おわり
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クリスマスえっちです(爆)。他にコメントのしようが・・・(汗)
曲名はタ○ポポから、でも歌詞しらない・・・(^^;)