三月 春霞



除隊時に支給される緑のジャケットは、おろしたての手触りがした。
それが皺になるのも構わずにきつく抱きしめ、薄い唇を貪った。
南郷の勢いにやや気押されながらも、それでもちゃんと応えてくる舌と、腰にまわされた腕を感じながら、
口腔をまさぐり、唾液と漏れる吐息まで、何度も角度を変えて味わっているうちに、下腹が痛いほど反応しはじめた。
口づけを繰り返しながら、痩せた背中をドアに押しつけ、固くなった股間をアカギの下腹に擦りつけて赦しを乞うた。


あっ…、とため息のようにこぼれた甘い声をも吸い取って、鷲の模様が彫られた、ジャケットの金のボタンを外し、
黒いネクタイを片手で緩めて抜き取り、糊のきいたワイシャツのボタンを外した。
胸元をはだけさせると、無防備になった白い首筋に吸いつき、それから乳首を口に含んだ。

「あ…んっ」

赤子のようにむしゃぶりついた。きつく歯を立て、痛いほど吸い上げながら、
もう片方の乳首も親指と人差し指の腹で強く抓り上げると、アカギは声を上げて、身体を強張らせた。
無防備なわき腹がびくびくと波打っている。
左右の乳首を執拗にねぶった後、唇はくぼんだ鳩尾を辿り、へその中へと舌を差し入れた。
形のよいくぼみを堪能すると、腹筋の流れにそって舌を這わせ、柔らかなわき腹を吸い上げて赤い痕をつけた。

金色のバックルのついたベルトを外してズボンをくつろげ、下着と一緒に引き下ろすと、すでに勃ちあがっている分身が目の前に現れた。

「あっ…ああんっ…」

ズボンと下着を膝まで下ろした格好で、白い茂みの間から突き出ている雄を口に含んだ。
息を荒くしながらむしゃぶりつき、唾液をたっぷりふくんだ舌を茎に絡め、扱きあげる。
裏筋やくびれの部分を擦る度に、アカギは南郷の髪に指をからめ、びくびくと身体を震わせた。
口の中の雄も、南郷の舌に扱かれる度に脈打ち、固く張りつめた。

「は…もう…イッちゃうよ…南郷さん…」

立ったまま南郷の口淫を受けていたアカギが、荒い息の合間に訴えた。
屹立を根元まで咥え、アカギ自身の内部を模すように口をすぼめて勢いよく数度吸い上げると、
アカギは南郷の頭を抱えたまま、甘い悲鳴を上げて口腔に精を吐き出した。
数年ぶりに味わうアカギのエキスを喉を鳴らして飲み下した後、南郷は自分はひざまずいたままの状態で、アカギに後ろを向かせた。

「ぁっ…あっ…」

両手で形のよい尻たぶを開き、露わになった秘所に舌を這わせた。
頑なな入口は、南郷が根気強く口づけし、舌先で愛撫しているうちに次第にほぐれてきた。
大胆に舌を差し入れ、唾液を注ぎこむ。するとそこはかつての快感を思い出したのか、次第にひくひくと蠢いて、南郷の舌を取りこむようになった。
小さく締まった白い尻が、さらなる愛撫をねだるように、しだいに南郷の顔の方に突きだされる。
アカギの求めに応じて、南郷は自分の太い指を、舌と一緒に差し入れた。

「ああんっ」

舌よりも固く長いものが潜り込んで、熱い内部を探った。
肉襞のひとつひとつを指の腹で確かめ、擦って粘膜を感じ、内部を広げるように中でぐるりと指を回した。
アカギは感じ入った声を上げながら、物欲しげに腰を揺らめかせる。
舌の代わりに指を増やし、三本の指で水音を立ててかき回しながら、アカギに覆いかぶさって首筋や耳に何度も唇を落とした。
もう欲しい、と吐息交じりに懇願するアカギに、南郷はとっくに張りつめている赤黒い怒張を、白い尻の狭間に埋め込んだ。

「あっ、ああんっ」

挿入したそばから絞りとられそうな、狭く熱い内部に南郷もくぐもったうめき声を上げた。
二、三度突き上げて奥まで納めてしまうと、腰骨を両手で掴み、もはやこらえきれずに激しく腰を打ち付けはじめた。

「あっ、あんっ、あんっ、あんっ…」

がたがたとゆれるドアに、頼りなくおかれた白い指が爪を立てた。
中途半端に制服を脱がされたあられもない恰好で、立ったまま後ろから、男に尻を犯され、喘がされている。
そんな自虐めいた認識が快感を呼び起こし、アカギの身体をいっそう熱くしているようだった。
南郷の形に抉られながら、アカギの頬には赤みがさし、目は快楽にとろりと潤んでいる。


そんなアカギの内部を攻め立てながら、南郷はアカギの中にいる幸福に酔っていた。
今、自分たちはひとつに繋がっている。そのことがひどくうれしかった。


だがそんな考えも蕩けるような快感に溶かされ、頭の中が真っ白になっていく。
痩せた身体をしっかりと抱きしめて、南郷は無心に腰を打ち付け続けた。

つづく

『ニューヨークでつかまえて』で(力尽きて)入れられなかった、その後のらぶらぶえっち。
書くならまずは制服えっちから!と鼻息荒く考えていました(^_^;)
まだつづきます・・・。

アカギ部屋