3
高橋家の父はあのまま病院に泊まりこみの仕事が出来、涼介も電話のあと出かけていった。
そして、母親もどこに行ったのか慌ただしく出かけて行き、先程まであんなに賑やかだった家の中には啓介と拓海だけになって、少し静かになっていた。
「何か静かですねぇ」
「あの人がいるといつも騒々しいんだよ」
「楽しいじゃないですか。何か可愛いし」
「そうかぁ?」
夕飯の片付けも終わって、ソファに並んで座り、コーヒーを飲みながらテレビを見ていると、拓海の肩に啓介の腕が自然に回ってくる。
拓海が啓介の肩に頭を乗せると、啓介がソファの背もたれから離れるのを感じた。
「…誰も居ないからキスしていいか?」
「…さっきは聞きもしなかったくせに」
「うっせーよ?この口は」
「……ん……」
顔を少し上げられて、拓海の唇に啓介の唇が降りてくる。
拓海は静かに目を閉じて、啓介の唇の温度を感じた。
いつものような深い口付けはせず、そっと離れていく啓介の唇を間近で見つめていると、啓介が拓海の耳元でボソボソ…と耳打ちをする。
拓海は真っ赤になりながらもコクリと頷くと、啓介は拓海の腕を掴んで立ち上がらせた。
拓海の手を引いて自分の部屋へ向かう階段を上がっていく時、啓介が拓海の手を強く握ると、拓海もその手をちゃんと握り返してくる。
自分が相手に向ける想いにちゃんと帰ってくるものがあということは、何て幸せなことだろうか。
啓介は嬉しくて思わず顔が綻んでしまう。
拓海が来るまで頑張って片付けていた部屋に拓海を招き入れると、啓介は拓海の体を背から抱いた。
「…拓海…」
「…ん……啓介さん…」
首筋に落とされた啓介の口付けに、体をピクと反応させる拓海を久々に感じた。
愛しすぎて思わず強く抱きしめた啓介の腕を苦しいと感じたのか、拓海の手が啓介の腕にかかる。
「苦しかったか?」
「…………」
緩く首を振った拓海の体を抱き上げてベットにそっと寝かせると、拓海は啓介の首にしなやかな腕を絡めてくる。
「珍しいな。お前がそうやって最初から積極的なのって」
「…そういうオレ、嫌い?…」
啓介は拓海の上に伸し上がって、拓海の足に自分の長い足を絡めてくる。
「いや、大好き」
啓介は、拓海に唇に深く口付け、その腕で拓海の体を抱きしめた。
自分を吸い尽すかのように口付けて離れない啓介に苦しくなって、拓海の目から涙が流れた。
「……ん……」
涙に気付いて唇を離した啓介は、拓海の頬を伝う涙を吸い取って、強く抱いていた腕の力も少し緩める。
拓海も、やっと力を緩めてくれた啓介の肩で、少し熱い息を吐いた。
「…なぁ、拓海…」
「…なんですか?」
「お前さ…うちに来ねぇか?」
「…え?」
『いま居るじゃん』と言おうとしたが、啓介がそういう意味で言ったのではないことに気付いて、拓海は口を噤む。
「うちに来ればさぁ…あの人はお前の『お母さん』にもなるしさ…」
「…啓介さん…」
拓海は啓介のうちに来ると、たまに母親を見て懐かしそうにしていることに、啓介は前から気付いていた。
啓介の母親に、亡くなった自分の母親の姿を重ねているのだろう。
子供の自分が言うのもなんだが、あの人は何だかんだと煩いとこを言うが、自分の事を良くわかってくれている数少ない人の1人で、頼もしい味方だった、
当人も拓海の事を気に入っているので、きっと拓海の味方にもなってくれる。
「…………」
拓海は真剣な目で自分を見つめる啓介に緩く首を振る。
途端に、啓介の顔は少し悲しそうになった。
「…イヤか?…」
「…イヤなんじゃなくて…オレがここに来ちゃったら、うちにはオヤジ1人きりになっちゃうでしょ?…」
だから無理です、という拓海を啓介は強く抱きしめた。
「…啓介さん?」
「…ごめん…」
「何で謝るんですか?」
オレは嬉しかったけど、と言って目の前の鮮やかな色の髪を撫で、労るような口付けも落とした。
「…いま、オレお前を独り占めしようとした…」
いやな奴な…、と苦笑する啓介の首に、拓海は両腕を絡めて自分の方に引き寄せた。
「なんで?独り占めしてよ。…今すぐここに住むことはできないけど、今は2人だけしかいないんだからさ…」
「…拓海…」
「折角お母さんが気を利かせてくれたんでしょう?」
出かける時、何か言っていたということではないけれど、久しぶりに逢った自分達に気を使ってくれたのは何となく分かった。
啓介とのことを知られているのは恥ずかしかったけれど。
「…そうだな。…じゃ、拓海を美味しく頂くとすっか」
「頂いてください」
お互い微笑んで、啓介と拓海は再び口付けを交わした。
おわり。
2
頂き物部屋
啓拓の基本はらぶらぶいちゃちゃだと思うのですが、まさにそんな話vv
家族ぐるみのおつきあいでしかも家族の目を盗んでらぶちゅっちゅっ(嬉)
ゴッドマザーもいいキャラ出してます。アニキとくっといてほしかったんだ・・・お母さん(^^;)
プロポーズは断られてしまったけど、結局らぶらぶなことには変わりなく。
まーくん、すてきな啓拓話をありがとうございました〜vvvv
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