アカギの長い夜 |
5 <池谷先輩の話>
「昔々、ある商人が親戚の娘と結婚しました。 妾は2人を生んだ後にはかなくなりましたが、2人は申し分なく成長しました。 「2人とも店を放り出してどこかへいってしまったよ」 と答えました。
それからまる3年、商人は悲しい心をいだいて泣いていましたが、そのうち大祭がやってきました。 商人が袖や裾を捲り上げて包丁を手に取り、雄牛の喉元をかき切ろうとすると、 これはいきのいい雄牛だ、神の供物にふさわしいわい、ともういちど犠牲にしようとしましたが、 そこで商人は再び牛飼いに使いをやって、ふたたび若くていきのいい雄牛を連れてくるように言いました。 商人はかわいそうになったので、牛飼いに、 「この雄牛を連れ帰って、他の雄牛を連れてきてくれ」 と言いました。
翌日、牛飼いは商人のところへやってくると思いがけないことを言いました。 「俺には息子がひとりいる。
商人はこの話を聞いて、喜び勇んで牛飼いと一緒に家を飛び出しました。 「この雄牛が私の息子だというのは本当かね?」 それを聞いて、商人はすっかり嬉しくなって拓海に言いました。 「もし君が息子の魔法を解いてくれたら、お父さんに預けている牛でも財産でも、なんでもあげよう」 拓海はちょっと驚いた顔をして、 「財産とかは別にいらないですけど・・・ あと、この魔法をかけた人には同じ魔法をかけさせてもらってもいいですか? 商人は2つ返事で了承し、さっそく啓介にふさわしいと思う娘を連れてきました。
「一体何が気に入らないんだよ・・・?」 商人が帰った後、拓海は途方にくれた顔で雄牛に話しかけました。 「元に戻れば、こんな納屋にいなくたっていいんだぞ? 実際、雄牛があまりに頑ななので、魔法のまやかししか見えない商人は、
「こら、くすぐったいよ」 ぺろぺろと顔を舐められて、拓海はくすくすと笑いながら身をよじりました。 しかし拓海はこの雄牛が人間の男だということを忘れていました。 雄牛は拓海の首筋に鼻面を埋めながら拓海を押し倒し、口で器用に拓海のシャツをはぎとりました。 「あッ・・・」 いつのまにかさらされた胸の頂をざらりとした舌で舐められて、拓海はびくりと身体を震わせました。
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