アカギの長い夜 |
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翌朝、牛飼いが納屋に行くと、そこには他の牛に混じって1人の青年が裸で転がっておりました。 「??なんで俺、こんなところにいるんだあ??」 雄牛に姿を変えられていた商人の次男、啓介はずきずきと痛む頭に手をやりながら首を傾げました。
商人は息子との再会をたいそう喜び、牛飼いにお礼の金品をたっぷり置いて、家に連れて帰りました。 啓介は姿を変えられてからのことを何も覚えていませんでした。
あんたも懲りないな、と煙草をふかす牛飼いを尻目に、啓介は今日も部屋をがんがん叩きます。 「おい藤原!いいかげん出てこねぇとこのドアぶっ壊すぞ!」 すでにミシミシと軋みながらも近所迷惑な音を発しているドアの向こうで、 (啓介さん・・・) 獣の姿の啓介と交わったあの夜。背後から揺さぶられながら、 拓海には獣と交わっていると言う意識は途中からありませんでした。 (でももう会えない) あんな痴態をさらしてしまったのです。
拓海の部屋の、古ぼけた木製のドアは、しばらく騒々しい音を立てた後で静かになりました。
どれくらい経ったのでしょう。 「おーい、たくみぃー?もしかしてまだ寝てるのかぁー?」 幼馴染のイツキの声に、拓海は毛布から顔を出しました。 「ゲーム持ってきたからさあ、一緒にやろうぜー?」 能天気な声を聞けば、どん底の気分も少しは和らぎます。 「・・・イツキ、そこに啓介さんいる?」 素っ頓狂なイツキの声に安心し、 「ごめん、何でもない。今開ける」 起き上がって裸足のままドアに向かい、鍵を外して開けると、そこには。 「よう」 高橋啓介が目の前に立っていました。
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