基本的には朝食は和食だが、昨夜炊いた米は啓介がきれいに平らげた上、
炊飯器をセットする暇もあたえられずコトにもつれこんでしまったので、今朝はパンだ。
かちかちのバターを乗せたパンをトースターに放り込み、コーヒーメーカーをセットしてから
弁当の準備に取り掛かる。温野菜とコロッケとソーセージとミニハンバーグ。
朝食は弁当のおかずの残りにポタージュとハムエッグを追加したものだ。

トースターから香ばしい匂いが立ち上り、コーヒーメーカーがこぽこぽと暖かい音を立てる。
コーヒーメーカーは啓介が高橋家から持ってきたものだ。それまでコーヒーの淹れ方すら
知らなかった拓海に使い方を教えたのは啓介だ。だからなのか、それを見る度に、
ああ、オレたち結婚したんだなあと実感する。

拓海は冷蔵庫から卵を取り出すと、丸い壁掛け時計を振り返り、寝室を見た。

（そろそろ啓介さんを起こさないとな）

啓介を呼ぶ
起こしに行く