「啓介さーん!起きないと遅刻しますよー!」

寝汚い啓介が呼んだだけで起きるかどうか不安だったが、朝はとにかく時間がない。
それに下手に起こしに行けばベッドに引きずり込まれかねない。

「啓介さん!!いいかげん起きないと涼介さんに」
「・・・起きてるよ」

いきなり耳元で囁かれて、拓海は飛び上がった。パジャマの下だけを身に着けた
啓介は起きぬけのぼさぼさ頭のまま、背後から拓海の腰に腕を回して耳朶を噛む。

「おまえね・・・毎朝アニキの名前使って起こすのやめろよなー」
「・・・嫌だったらちゃんと起きてください」

お互いに文句をいいながらもおはようのキスをして。洗面所に向かうむき出しの背中に
昨夜自分がつけた(らしい)爪痕を見つけて頬が熱くなった。