「啓介さん、ハンカチ・・・」
アイロンがけしてきれいにたたんだハンカチを手渡そうとして、拓海は部屋の入り口に立ち尽くした。
さきほどまでの寝起きのパジャマ姿はどこへやら、濃茶系のスーツに着がえた啓介がネクタイを締めていた。
体格のよい啓介は、上物のスーツがとてもよく似合う。
(啓介さん、かっこいい・・・)
毎朝目にしているにもかかわらず、拓海はぼーっと見とれてしまった。
そんな新妻の反応を知っている啓介は苦笑すると、その場に固まっている
拓海の手からハンカチを受け取ると「サンキュ」とキスを落す。
(このまま休んじまいたいけどなあ)
うっとりとキスを受ける拓海をベッドで存分にかわいがりたいのは山々だが、
そんなことが度重なれば、上司である兄からどんな仕打ちをされるかわからない。
後ろ髪をひかれながらも、啓介は名残惜しげに何度もキスを重ねた。
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