秋祭り




アヴァロン島の森の中にある妖精たちの学園、フェアラルカ。

氷の風の王子ジルはノーム王家の血縁ニィルと、

炎の風の王子エアはノームの王子のトォルと、それぞれ恋人同士になったが、

ずっと一緒に育ってきた二人の王子は、トォルやニィルがやきもきするほど、熱々でラブラブな関係だった。

ある日突然、花の王子フルールがジルの婚約者としてあらわれ、つれないジルに惚れ薬を使ってしまった。

目覚めた時に運悪く関係者全員を目にしてしまい、「全員僕の嫁」とばかりに全員を口説きまくるジルを解毒するために、

全員がフルールの国である花の国に招かれることになった。

めでたくジルは正気に戻り、恋人のニィルとの関係は、ますます深まったのだが。



「きみを抱きしめるこの心地よさをなくしたくはないけど、やはりそろそろ、僕たちには独り立ちが必要な時期なのかな?」

「だな」

バラの花が浮かぶ、花の国の温泉にあるシャワーブースで、二人でこもって交わした会話。

去り際にされた、腰が立たなくなるほどのキスは、とろけるほど甘く痺れて、泣き出したくなるくらい切なかった。

乱心が治ってから、ジルはほとんど恋人のニィルにしか愛を囁かなくなった。

弟の自分のことも構ってはくれたけれど、

以前は自分が独り占めしていたジルの隣に、愛らしいノーム(地霊)が座り、

兄の愛情を一心に受けているのを見るのはつらい。

そして、兄を見つめている自分を見て、トォルが悲しむのも嫌だった。

トォルのことだって、ちゃんと好きだ。

だから、行き場のないこの想いと決別する決心をした。

もうジルを目で追うことはしない。

極力触れることもしない。

いつものように背後から抱きしめようとしてきたジルを拒んで、別れを告げた。

ジルは驚き、悲しそうな顔をしたが、エアの決心が固いとわかると、

「きみがそうしたいなら」

とそう言った。

エアは夕食も食べずに、礼拝堂の地下の隠し部屋にこもって、一人で泣いた。




かなりはしょりましたが、冒頭でできるだけあらすじを説明してみました;

原作は途中で廃刊になっちゃったけど(>_<)
続いていたらたぶんこの双子は別れるというかいちゃいちゃしなくなるんだろうなー
とおもったら悲しくなってねつぞうしてみました。
ジルエアが幸せになる話です。

妖精部屋