秋祭り
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別れるといっても、自分たちの関係はそもそも「恋人」ではなく、ただ「双子」だった。 物心ついたときから、抱き合ったり、キスしたり、いつしかそれ以上のことをしていた仲だったから、 「普通の兄弟」に戻るといっても、どうしたらいいのかわからなかった。 ただ触れ合わなくなり、目を合わせなくなり、交わす言葉も少なくなった。 そんな自分たちの…というより、おもにエアの態度の変化に、二人のノーム(地霊)は喧嘩でもしたのかと心配したが、 「別に…いつまでも兄貴にひっついているわけにもいかねーだろ。もうトォルしか見ねーって決めたんだ」 そう答えると、トォルは何故か複雑な表情になった。 これからはおまえのことだけ考えるって言ってるんだから、もっと喜べばいいのに。 お宝探しにも参加しなくなった。ジルと顔をあわせたくなかったからだ。 炎属性ゆえに熱を持て余す身体は、夜毎にトォルを愛することで鎮めた。 糖蜜色の髪と瞳を持つ、気が強くて生意気で、やさしいノームの王子は、何度抱いても飽き足らないくらい可愛かった。 彼だけを愛せればいい。 エアはそう願い、かつて溶け合うようにしっくりと身体になじんでいた、ひんやりとした肌の感触を追い払おうと、 体温が高めの、小柄な恋人の身体を抱きしめた。
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