やきもち
出会ったばかりの、ぶっきらぼうなノームの王子でした。 彼は手を血だらけにして、魔法の指輪を探しだし、 暴走する炎の力に苦しむシルフの王子に、プロポーズだと言って、指輪をあげました。 この指輪を二つに分けて双子がはめると、暴走していた二人の力は半分になり、 双子は再び、一緒にいられるようになったのでした。
「ちぇっ、ニィルのやつ。ジルとばっかりべたべたしやがって」 高等部の寮の自室に戻ると、蜂蜜色の髪をした小柄な地霊は、文句を言いながらベッドに勢いよく腰かけた。 そのせいで、スプリングのきいたベッドは、華奢な身体を、ぽんぽんと何度も跳ね上げた。 不満をいっぱいに溜めた大きな茶色の目が、そばに来たピンクの髪の風の精を見上げる。 「おまえは悔しくないのかよ、エア。大好きな兄貴をニィルにとられて」 傍から見ていて恥ずかしくなるほどのブラコンであるこの男が、 ジルとニィルのことについてはやけにあっさり認めているのが、トォルには不思議だった。 「別に」 可愛い従兄弟が夢中になっている憎きシルフと同じ顔をした男は、やはり今度も軽く肩をすくめただけだった。 同い年のくせに、こんな仕草がいちいち様になるから、なんか悔しい。 などと思っていると、その憎たらしくて綺麗な顔が近づいてきた。 「どっちかっつーと、俺といるのにニィルのことばっか気にしてるお前に腹立つけどな」 夕暮れ色の瞳にちらりと剣呑な光をのぞかせる恋人の言葉に思わず口をつぐむと、 その口を形のよい唇に塞がれた。 「…今は俺のことだけ考えてろよ、トォル」 ほのかに甘い香りをさせた夕焼け色の髪が、トォルのふっくらとした頬にさらりとかかる。 心地よい低音は、蕩けるようなキスのせいで、ろくに耳に入らなかった。
とうとう書いちゃったー! 後で原作よみました;後になればなるほどエア焼きもちやきまくってますね;
|
||