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岩壁にかけた松明があかあかと燃える。祭壇の中央にある大瓶の中身を煮立てている 祭壇に少女が横たわっていた。15くらいの、東洋人の少女だ。東洋人の瞳には魔力がある。 「アイン・ラーム・ミーム」 禁忌の儀式をしているという後ろ暗さと、血を見られるという原始的な高ぶりが彼らを 教主が拘束具を外した。身体を起こされた少女は、ふらふらと大瓶の前へと進み出る。
「うわぁぁぁ――!」 叫び声が突然途切れたかとおもうと、数瞬後、祭司の一人が祭壇の手前で倒れた。 ガキンッ! 思うさま振り下ろした剣を、別の剣が阻む。線の細い青年が、シバと高耶の間に割って入り、 「よせ、お蘭。今の彼はおまえには荷が重い」 今の高耶には手負いの獣と同じだ。剣を引くこともできずにぎりぎりと高耶を止めている青年の後ろで 「薬でもそう簡単には飼いならされない、か。だがいくら強靭な意志でも薬の呪縛から逃れることは みなまで言わせぬうちに高耶が剣を振り下ろした。シバが発止と受け止める。 「身の程知らずな獣よ。おまえごときにこの私を倒せるか!」 キンッと音を立てて首を薙ごうとした刃をはらう。 すかさず心臓を突こうとした高耶の剣が高い金属音と共に飛ばされる。
「き・・・さま・・・」 シバは血に染まった右目を押さえながら、ものすごい形相で高耶を睨みつけている。 「これで終わりだ、シバ」 高耶は床に落ちた剣を拾い上げると、止めを刺すべく振り下ろした。
洞内は突如、闇に包まれた。 ――美獣よ、この礼はかならずするぞ。それまでせいぜい幻に取り殺されぬようにな。 「逃げる気か!」 追おうとする高耶に、完全に恐慌状態に陥った信者達が襲い掛かる。
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ボディピアスなんで耳用よりは針の部分が長いかと。
シバ様あんなこと言ってますが、リベンジ編までは書けないと思う・・・。