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都市や村に定住せず、独自の伝統と掟を守りながら ラクダを主な交通手段としていた時代に1日100キロもの距離を移動 そうやって純粋な「ベドウィン」が次々と姿を消していく中で、昔ながらの 定住しない。服従しない。傷つけたれた誇りは死でもって償わせよ。 そんな彼らの元に、一人の男がたずねてくる。
「おやまあ、一体誰かと思ったよ!」 羊の皮で作られた白いテントの奥から出てきた男は、丸い顔に 「ひさしぶりだな、サーリフ」 慣れた足取りで砂の上を歩きながら、高耶は数年ぶりに会った 「しばらく会わん間に黒くなったなあ。かわりに髪と目の色が抜けた」 「サーリフ。これは染めたんだ」 厚い掌で肩や背中をぽんぽんと叩きながらしみじみと言うサーリフに 今の高耶はまるで混血のアラブ人のようだった。肌は指の先まで サーリフは高耶を開放すると、あらためてまじまじと見た。 「ふうむ。なかなかいいが、二つ気に入らない点がある。一つは このどうみてもひよっこにしか見えない男が、実はハダリーにしておくのは 妙なところで頑固なところは、どうやら今も変わってないらしい。 「コーヒーをいれよう。話は中で聞く」
「邪視教徒?奴らのところに行くのか」 コーヒーの馥郁とした香りがテントの中に立ち込めている。 「おまえ一人じゃ無理だ。やつらはシロアリだぞ。あのカマル山中に 高耶は地図を広げた。サウジアラビアの南、イエメンとの国境に 「なぜ東洋人を狙うかわかるか」 サーリフは苦々しい表情でコーヒーを飲みこんだ。 「なぜ東洋人かはわからんが…とにかく儀式に目が必要なんだそうだ」 それもただの目ではいけない。「ご神体」に力をつけさせるためには 高耶は邪視教徒が潜んでいるというあたりを指で辿った。 「このあたりは遺跡があったな。構造を知っているか」 「まあ、大体はな。だが奴らもそのままでは使ってないだろうから 「それでいい。教えてくれ」
サーリフとナジム族の男たちと車座になって心づくしの夕食を 「もっとゆっくりしていけばいいのに」 サーリフは心底残念そうだ。高耶はジープの後部座席の下に 「おまえ、ワシの息子になるつもりはないか?」 これにはおもわず手が止まった。驚いて降り返ると、サーリフは 「末娘のアーイシャがそのう…おまえのことが気になるようでな」 普通ならこれは「かわいい娘に色目をつかった」かどで刀の錆びに 高耶はちょっと笑うと、 「気持ちだけ受け取っておく。あんただってかわいい娘を早々 冗談めかしてそう言って、ジープに乗りこんだ。 「じゃあな」
あっという間に見えなくなったジープをまだ見送りながら、サーリフは 「やれやれ、もったいないのお・・・」
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高耶さんイメチェンするの巻。
もしやオヤジキラー…?(笑)
はっいやっ、決して直江がオヤジと言いたいわけではっっ(汗)