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「かの紅の瞳の主にご加護を乞い願う
岩壁は中央の壇の前で燃え盛る炎を赤々と映し出していた。 中央の壇には若い女が横たわっていた。肩ぐらいまでの黒い髪、いっぱいに 「我らが紅眼の主に栄えあれ」 教主が壇の傍らに立ち、おもむろに女の手足の拘束具を外した。彼女は 悲鳴は上がらなかった。もし上げていたとしても信者達の唱和でかき消されて 顔を鮮血で染め、突然電池が切れたように倒れた女の手から、教主は二つの 「我らが主にこれを捧げん!」 大釜の中にそれを落とした瞬間、紫色の炎が高く立ち上った。信者達は慄いて
「教主様、次の殉教者のリストです。」 儀式の後、重い祭祀服を脱いで机に向かっていた教主の背中から、配下の一人が 彼は部下から書類――次の儀式に使う眼球の持ち主のリスト――を受け取ると、 「この者は既に使用済みか?」 パソコンを操作してデータを呼び出す。長いリストをスクロールしていき――ふとその 「アーサー・ブラッド陸軍大尉――いえ、手のものをやったはずですがまだ未処理に 逆に消されたか。軍人に手を出したのはいささかまずかったのでは、と部下が逡巡する 「おもしろい」 彼は再び先の画像を呼び出すと、画面いっぱいに拡大した。こちらを見据える、きつい 「まだ生きているならば好都合。目だけでなくこの身体ごとここに連れて来い。 部下は息を飲んだが、教主の言葉には逆らえない。ためらいの言葉を飲みこんで、 「承知いたしました――シバ様」 切り取られた画面の中の瞳が、挑むようにこちらを睨んでいた――
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このシリーズって直高以外のミラキャラを出す度にすごいジレンマを感じます;;
あんま日系人出すのも苦しいし、かといってオリキャラもあんま出したくないし;;;
というわけで今回のボスキャラは信長でわなくシバ様です(く、苦しい…)。
次回はボンドガール(高耶ガール?)登場の巻〜。