緋襦袢で四十八手
27. こたつかがり 前
鴆の部屋を訪ねたら、また炬燵があった。 籠にみかんがきれいに盛ってある光景も、ものすごく見覚えがある。 炬燵に正座で座っていた鴆は、リクオを見るなり顔を輝かせ、 いそいそと立ち上がって羽織を脱がせながら、はやく襦袢姿になれとせっついた。 もはやこの炬燵が単なる暖房の目的でここに置かれているわけではないことはわかっていたが、 何しろ二度目であるので、心構えができるのも早かった。 疲れた気持ち半分、安堵の気持ち半分で、赤い襦袢一枚になった。 ところが、いざ鴆の向かい側に座ろうとすると、 「そっちじゃなくて、こっちに来いよ」 鴆が炬燵から半ば出した膝をぽんぽんと叩いた。 「…」 リクオは思わず半眼になったが、言われるままに鴆に背を向けて、膝の間に潜り込んだ。 炬燵のぬくもりと、鴆の身体のぬくもりが脚と背中を温める。 鴆はリクオを膝の間に座らせると、背後から抱きしめる格好で手を伸ばし、上機嫌でみかんを剥き始めた。 さわやかな香りが鼻腔をくすぐる。 骨ばった繊細な指が橙色の房から白い筋を丁寧に取って、リクオの唇に放り込む。 無意識に開いて、閉じたリクオの口腔に、鴆の指が入り込み、内部をまさぐった。 思わず振り返ったリクオの目の前で、鴆はリクオの唾液で濡れた指を舐めて、ニヤリと笑った。 その確信犯的な緑の目を正視できずに、リクオが目を逸らす。 するとうっすらと朱が注した目元に口づけられ、同時に胸元に大きな手が忍び込んだ。 「ぁ…っ」 濡れた指に乳首をつままれ、びくりと身体が震えたのは、指先の冷たさのせいか、それとも教え込まれた快感のせいか。 頬、耳元、そして首筋に、乞うような口づけを受けながら、乳首を弄られ、 もう片方の手は布団に隠れた裾を割り、内腿の感触を味わうように撫でさする。 ろくでもない趣向だとわかってはいても、全身で自分を求めてくる男の愛撫に、 リクオは文句の一つも言えずに流されつつあった。 |
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