あわよくばもう少し




雨の夜よりも少しだけ温度が上がった室内で、二つの身体が熱く湿った吐息と共にもつれ合う。

「なあ、いいだろ…?」

反り返った分身を根元から舐めあげ、先端からとめどなく滴る雫を味わいながら鴆が懇願する。

「てめー、卑怯だぞ…」

リクオは訴えるが、声に力は入らない。

あんたの嫌がることはしないと言っておきながら、この男は時々、ものすごく図々しい。

だが一番敏感な部分を舐められ、同時に乳首をきつく抓られれば、

耳にすることさえ忌まわしい願いも、強くはねつけられない。

だってよお、と鴆は分身に舌を這わせながら、その根元を撫でた。

まばらで柔らかい白と黒の下生えは、滴る先走りと鴆の唾液で、しっとりと濡れそぼっていた。

「オレもこいつは気に入ってるけどよー、根元を舐めると毛まで食っちまうし」

「んなとこ、舐めなきゃいいだろうがっ…」

羞恥にたまりかねて、男の頭を引きはがし、身をよじって逃れようとしたが、

男は難なく暴れる太腿を抱えて、抵抗を封じ込めた。

そのまま下からじっと見つめられて、あんたを隅々まで愛したいんだ、と真摯な声で言われれば、

無碍にすることもできなくて。

「な?もともと大して生えてねーんだし。剃ったらきっとすっきりするぜ?」

「喧嘩売ってんのか…」

流されそうになりながらもなかなか承諾しないリクオの後口に、薬液をつけた鴆の指がもぐりこんだ。

「あんっ…!」

「オレしか見ねーんだから、別にいいだろ?」

袋に歯をたてられながら奥を探られ、リクオの思考は快楽に霞む。

だがそれでも諾とは言い難かった。

「あっ…水泳の時、困んだろうが…ッ」

そう、今の季節は、水泳の授業がある。着替えでクラスメイトに素っ裸をさらす可能性のある、唯一の時期だ。

ところが、それを聞いた瞬間、鴆の目が物騒に光った。

「へえ…オレ以外の男に、あんたのここを見せるってわけかい。

…そういうことなら尚更、あんたははオレのもんだって主張しとかねーとな」

むくりと身体を起こした男の様子に、リクオは逃れられない自分の運命を悟った。




すみません…すみません…

1.5



裏越前屋