あわよくばもう少し
4 剃り跡を湯船で丁寧に洗われ、閨に戻ってそこを舐められた時には、 雷に打たれたかのように、身体が跳ねた。 「あぁん!」 すっかり敏感になっているそこに舌を這わされる度に、電流のような刺激が立て続けにリクオを襲う。 「あっ、ぁあん、ぜんっ…」 鴆は獲物を貪るように、無言でそこを舐めている。 ぴちゃぴちゃと水音を立て、ざらりとした舌が強すぎる快感を生み出し、 濡れたそこにかかる荒い息までもがリクオを蕩けさせた。 「はぁっ…ぜん…うしろも…」 股間に埋まった鴆の頭を両手で抱えながら、リクオは望みを口にした。 いつもと違って、薬液のついていない指がそのまま奥に潜り込んでくる。 先刻までさんざん弄られていた入り口は、潤いがなくても骨ばった指を受け入れた。 痛みと紙一重の異物感を感じたが、今はむしろそれがよかった。 「あんっ…ぁあんっ…ぁあっ…」 気持ち良すぎてどうにかなりそうだった。 下僕にこんなところを舐められて、後ろをいじられて感じている自分がひどくあさましく思えたが、 その屈辱感がいつもよりよけいにリクオを乱れさせた。 「あっ…いいっ…」 内部の指の動きに合せ、鴆の舌にそこを押し付けるように腰を回しながら、うわ言のように呟く。 「オレもだぜリクオ…すげー舐めやすくて美味え」 しゃぶりつくような勢いで何度も肌を吸いながら、鴆も恍惚とした声で言った。 その欲に濡れた低音すら、無防備な肌を刺激した。 未知の感覚だった。いつもは性器の周りに口づけられても焦らされているようにしか思えないのに、 今は後ろを弄られながらそこを舐められるだけで、じわじわと快感が高まった。 いつもと違う、後ろから高められていく不思議な感覚。 自分が自分でなくなりそうで怖くなったが、鴆は愛撫をやめない。 リクオは鴆を挟んでいる両脚が小刻みに震え、瞼の裏がちかちかするのを感じた。 「あっ…ぁぁっ――!」 声にならない悲鳴を上げて、リクオはいつもと違う絶頂に達した。
リクオの身体が弛緩した後、鴆はようやく顔を上げた。 さんざん舐めまわしたそこには、赤い痕が点々と残っている。 手つかずの分身は反り返ったまま、先走り以外の精を零していない。 射精を伴わず、文字通り後ろだけで達したのだ。 リクオは息を乱したまま、恍惚とした顔で放心している。
それを見た鴆は、にじむように笑った。 後ろから指を引き抜いた代わりに自分の雄を埋め込み、 今度は普通に達かせてやろうと、反り返った分身に手を伸ばした。
「いつまで触ってんだ」 身体を清めた後もなお、すぐに襦袢を着せずに、そこを触っている不埒な手をリクオはぴしゃりと叩いた。 いつも以上に乱れてしまった自分が恥ずかしくて、つい不機嫌そうな態度をとってしまう。 だが鴆はいっこうに気にした様子もなく、心ゆくまでその感触を堪能すると、ぎゅっとリクオを抱きしめた。 「すげー、オレのもんって感じする」 ありがとな、と心底嬉しそうに言われて、リクオの頬が熱くなる。 ほら、とそこを触らされた時にはショックだったが、 男の体温に包まれていると、こんなに喜んでいるんならまあいいか、とも思えてくる。 「これからは毎回、オレが剃ってやるからな」 腕の中でおとなしくなったリクオに、鴆は甘い声で囁いた。
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