くりすます
1 我を忘れて一つになり、互いの熱を確かめ合った後。 身体を清められ、清潔な襦袢に包まれたリクオは、布団にもぐりこんできた鴆に尋ねた。 「一応聞くが、クリスマスに何か欲しいもんはあるか?」 答えがわかっているかのような問いに、鴆は口の端を吊り上げた。 「一応答えるが、リクオ、あんたが欲しい」 予想通りの答えにリクオはため息をつく。 「ここにいる時には、おめーのもんだろうが」 抱擁と額への口づけを受け入れながら、白い頬をほんのりと染めた。 鴆は黒が混じった銀糸を愛おしげに梳きながら、じゃあそうだなあ…と考える。 「そうだ…この前、あんたの誕生日に、今のお前とは違う姿で現れただろ?あの姿をもう一度見せてくれよ」 「…」 実に願い事らしい願い事だったが、リクオは沈黙した。 誕生日の夜、出入りで変化して、そのまま鴆が待つ本家に戻った夜を思い出す。 やけにハイな気分になって鴆を誘った記憶は、悪夢のように脳裏にこびりついている。 「リクオ?」 うかがうように覗き込んでくる鴆の胸に顔を埋めたまま、リクオはぽつりと問う。 「…この『オレ』じゃ不満かよ」 機嫌を損ねた声でそう言えば、鴆は慌てて、 そうじゃねえ、だから最初にあんたが欲しいって言ったろ、と髪を撫で、 顔に口づけの雨を降らせて、先の要望をひっこめた。 「実はオレからの贈り物はもう決めてあるんだ」 まだ尖っている形のよい唇をついばんで、鴆は話を変えた。 贈り物って何だ、と興味をそそられたリクオが鴆を見上げる。 鴆は悪戯っぽく笑った。 「くりすますまでは秘密だ」
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