くりすます




我を忘れて一つになり、互いの熱を確かめ合った後。

身体を清められ、清潔な襦袢に包まれたリクオは、布団にもぐりこんできた鴆に尋ねた。

「一応聞くが、クリスマスに何か欲しいもんはあるか?」

答えがわかっているかのような問いに、鴆は口の端を吊り上げた。

「一応答えるが、リクオ、あんたが欲しい」

予想通りの答えにリクオはため息をつく。

「ここにいる時には、おめーのもんだろうが」

抱擁と額への口づけを受け入れながら、白い頬をほんのりと染めた。

鴆は黒が混じった銀糸を愛おしげに梳きながら、じゃあそうだなあ…と考える。

「そうだ…この前、あんたの誕生日に、今のお前とは違う姿で現れただろ?あの姿をもう一度見せてくれよ」

「…」

実に願い事らしい願い事だったが、リクオは沈黙した。

誕生日の夜、出入りで変化して、そのまま鴆が待つ本家に戻った夜を思い出す。

やけにハイな気分になって鴆を誘った記憶は、悪夢のように脳裏にこびりついている。

「リクオ?」

うかがうように覗き込んでくる鴆の胸に顔を埋めたまま、リクオはぽつりと問う。

「…この『オレ』じゃ不満かよ」

機嫌を損ねた声でそう言えば、鴆は慌てて、

そうじゃねえ、だから最初にあんたが欲しいって言ったろ、と髪を撫で、

顔に口づけの雨を降らせて、先の要望をひっこめた。

「実はオレからの贈り物はもう決めてあるんだ」

まだ尖っている形のよい唇をついばんで、鴆は話を変えた。

贈り物って何だ、と興味をそそられたリクオが鴆を見上げる。

鴆は悪戯っぽく笑った。

「くりすますまでは秘密だ」