ご褒美だよ




薬鴆堂の昼休み。

鴆は私室にこもると、運ばせた昼食の膳を尻目に文机に向かい、両手に捧げ持っていた小箱をいそいそと開けた。

午前中に患者の一人から診察のお礼にともらったものだ。

中には作り物の猫の耳と、棒の先についたおそろいの尻尾、そして尻尾を遠隔操作するための器具がついていた。

その器具のぼたんを押すと、どういう仕掛けか、尻尾が付いている棒がかすかな音と共に震えだした。

何でも人間界で人気の品らしい。色町などでお使いになってみてはいかがですかな、と

妖力を失っていたおばりよんはニカリと笑った。

人間の閨事に関する飽くなき探求心には呆れるが、そこから生み出される道具の数々は、

特に最近のものは性能が良く、魅力的だ。

それでも、リクオとわりない仲になるまでは、そういった道具の類には一切興味を持たなかったのだが、

夢中になればなるほど、もっと彼を乱れさせたくて、こういうものも試したくなる。

獣の耳と尻尾を生やしたリクオはどんな様子だろうか。この張り型にもなっている尻尾を挿入して、ボタンを押したら…。

だが問題は、どうやってこれを閨で使うかだ。

まともにお願いしても、断られるに決まっている。

下手をすると、怒って一週間ほど口を聞いてくれなくなるかもしれない。

何とか穏便に、これを使う方法はないものか。

冷めていく膳をよそに、鴆はおもちゃを前に腕組みをしたまま、難しい表情で考え込んだ。




にゃんこフェアです。がんばります〜



裏越前屋