何も考えられないまま、固いくちばしの中に放った欲望が、

鳥の、いや男の喉に飲み込まれていく音をぼんやりと聞いていると、力の抜けた身体を返された。

手をつく気力もなく、腰だけ高く上げさせられる。

「あっ…」

尻だけを突き出した恥ずかしい格好で、秘所に薬液をまとわせた指がもぐりこんだ。

愛されることに慣れたそこは、もうとっくに甘く疼いていて。

骨ばった男の指を歓迎するように纏わりつき、きつく締め付ける。

それどころか、もっと刺激が欲しくて、自分から腰を動かしてしまっていた。

「あっ…鴆…はやくっ…」

達したばかりの分身は、すでに痛いほど張りつめて、リクオは羞恥で消え入りそうな声で懇願した。

すると、奥を探っていた指が引き抜かれ、両脚を抱え上げられる。

ほとんど逆立ちするくらいに持ち上げられたかと思えば、

挿入されるのを求めてひくつく入り口を、二本の親指でいっぱいにひろげられた。

「鴆っ…」

「あぶねえから、動くなよ」

真剣な鴆の声に、どういうことかと問う間もなく、それは入ってきた。

「ああっ…あっ…！」

熱い肉棒とは違う、冷たくて、もっと硬いもの。

いつのまにかもぐりこんできたそれは、入り口をどんどん広げていく。

「やっ…ぜん…やめっ…」

異様な感覚に、それが長いくちばしだと悟った。

入り口を際限なく広げられるような恐怖と、鋭い切っ先で奥を探られる恐怖があいまって、下手に動くこともできず、

リクオは半ば逆立ちさせられた苦しい体勢で、身体をこわばらせ、やめてくれと訴えた。

入り口ばかりか内部まで、固いくちばしに広げられる感覚に、リクオは震えた。

「あっ…！」

中でくちばしを開かれて、奥まった場所がさらに内側から引っ張られる。

それはあまりに異様な感覚だったから、くちばしが抜かれて、代わりに熱い肉棒が入ってきたときには、

安堵のあまりすぐに達しそうになった。

「んんっ…んっ…ぁんっ…」

揺さぶられながらもなんとか射精をこらえる。

膝をついた獣の姿勢で、リクオを突いているのは鴆の昂ぶり、揺れる腰を掴んでいるのは鴆の大きな両手だ。

だけど喉を震わせて喘ぐその首筋に擦り付けられているのは暖かい羽毛と、硬く冷たいくちばしの感触で。

「ッ、リクオッ…！」

喉の奥から絞り出される、艶を帯びた鴆の声色。

同時に内部に熱い飛沫が広がるのを感じて、リクオも全身を震わせて達した。

終わった後も、鴆はなかなかリクオを離さなかった。

「こんな姿でもちゃんとできたな」

うれしそうな言葉と共に顔に近づいてくるくちばしの先を、リクオは手のひらでつかんで止めた。

「さっさと治せよ。これじゃあ困んだろ」

この男が鴆だというのはわかるし、鳥頭だからといって気持ちが変わるわけではないけれど。

いくら抱き合えても、口づけできないのはやはり寂しい。

でもそんなことを口にすることもできなくて、リクオは代わりに、掴んだくちばしの先に、小さく口づけた。