耳元で囁きながら
2 行燈ひとつが照らす濃密な闇を、熱のこもった吐息と、衣擦れの音がかき回す。 「あっ…」 思わず上げた声に苦痛の色が混ざった。 薬鴆堂を訪れて、酒を飲み、閨になだれ込む。 それはいつも通りの流れではあったけれど。 「いてえって!くちばしでつつくな!」 たとえ鳥の頭をしていようと、鴆は鴆。 そう思ったものの、もこもことした羽毛と硬いくちばしの感触には非常に違和感があった。 だが一度了承を得てしまった図々しい男は、リクオがたまらず押し返そうとしても、一向に上からどかなかった。 「んなこといったって、もうこんなになってるぜ…あんたのここ」 大きな手で自身を握りこまれて、リクオはビクリと身体を跳ねさせた。 くちばしでつつかれたり挟まれたり、さんざんな愛撫にもかかわらず、 それは鴆の手の中で脈打ち、先走りで根元まで濡れそぼっていた。 「あんた結構、痛えのも好きだもんな…」 そこを扱きたてる水音と共に、鴆の言葉がリクオの耳をなぶる。 大きな手の中でぬめるそれが、ドクンとまた熱く脈打つのを感じた。 「んなこと…あっ…!」 羞恥に頬を熱くしながら反論しようとした時、固いものにそれを挟まれて、リクオは声を上げた。 「やっ…あっ」 痛くはないが、本能的な恐怖を感じる。 鋭いくちばしの中は固いけれど熱くて、咥えたそれを奥へと飲み込もうとする。 しかも細長い舌が感触を確かめるように這いまわって、いつもとまるで違う感覚に、リクオは頭が真っ白になった。 加減はされているものの、くちばしに挟まれているということそのものが痛みを予感させて、 リクオを余計に昂らせる。 「あっ…鴆…もうやめっ…」 「出していいぜ、リクオ」 咥えながらくぐもった声で促す鴆の言葉に、リクオは内腿をびくびくと震わせ、快楽の証を吐き出した。
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