もっと見たいよ
5 「なあ、悪かったって。頼むから機嫌直してくれよ」 身体を清められ、清潔な襦袢を着せられた後、正面から抱き寄せようとする鴆に背を向けて寝転がると、 鴆は慌てて機嫌をとってきた。 けれど、簡単には許してやれない。 道具を使われるのは嫌だって言っているのに、これで二度目だ。 その上、「気持ちよかったろ?」なんて言われると、相手が鴆でなくても感じる淫乱みたいで、自分がすごく嫌になる。 「いつもと違うあんたを見たかったんだ。嫌だったんなら、あれはもう使わねーから」 妖怪だこの時にもそう言った。確かにあれは二度と使わなかったけれど。 一体どんな言葉で誓わせれば、こんな目に遭わされずに済むのか考えていると、 「リクオ、愛してる」 耳元で囁かれ、背中から抱きしめられて、思わず身体が震えた。 「リクオ…」 シーツを掴んだ手に大きな手を重ねられ、頬や、耳や、首筋に何度も乞うように口づけられて。 切なげに名前を呼ばれれば、もう怒り続けていることなどできなくて。 リクオはとうとう、鴆の唇を受け入れたのだった。 若菜お手製のパンプキンケーキをお互いに食べさせあったのは、それからさらに二時間後のことだった。
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