ほわいとでーその後




「好きでなきゃ、こんなこと――」

精いっぱいの告白に熱くなった顔を上げさせられた。
熱を帯びた若葉色の目にじっと見つめられると、赤くなっているに違いない頬がますます熱くなった。
鴆はリクオの頬を愛おしそうに撫でると、再びくちづけてきた。

「んっ…」

侵入してきた舌に舌の裏側を舐められ、リクオの背中にぞくりと震えが走った。
口腔全体を舐めまわすように、歯列をなぞられ、下顎にたまった唾液をすすられ、舌を扱かれた。
口の中を暴いていく鴆の熱と荒い吐息、そして秘めやかな濡れた音に頭がぼうっとしている間に、
リクオの帯は解かれ、羽織、小袖と一枚一枚剥かれていく。
鴆の舌の動きを追って夢中で応えているうちに畳の上に押し倒され、着物をくつろげながら首筋に唇を落とされた。

骨ばった指が懐から侵入し、直に胸に触れた。女とは違う、堅く平らな胸を、鴆は執拗に撫でまわす。

「あ…ッ」

爪の先で軽く乳首をひっかかれ、リクオは思わず小さく声を上げた。そこに触れられるのを期待していたかのような、甘ったるい声。
羞恥に頬を熱くしたリクオは、次の瞬間、強く乳首をつねられて、また恥ずかしい声を上げた。

「あっ…あんっ…」

親指と人差し指の腹で一方の乳首を虐められながら、もう一方も口に含まれ、歯を立てられたり、強く吸われたり、舌で強く扱かれたりした。
空いている方の手は傷痕が残る脇腹を撫で、腰骨をまさぐり、皮膚の薄い内腿を這った。
鍛え抜かれて硬く引き締まった大腿の、唯一無防備な部分を何度もなぞりあげられる度に、リクオは身体を震わせた。
下帯を取り去り、すでに反応を示している雄を手のひらに包みこまれると、そこへの愛撫を待ち望んでいたかのように腰が大きく跳ねた。

「はっ…あっ…」

力の加減を知りつくした手に扱かれ、リクオはなすすべもなく翻弄され、乱される。
快楽に流されるリクオの様子を見て、鴆は手淫をやめて、脚の間に頭を潜り込ませ、リクオの雄を口に含んだ。

「ああんっ…!」

最も敏感な部分を熱く湿った口腔に取り込まれて、リクオの背がしなった。
快楽に貪欲な雄は、鴆の舌の動きに応えて、みるみる脈打ち大きさを増す。
何度か口でされたことはあったけれど、羞恥でいたたまれずに拒否したこともあった。
こんな部分に頭を埋められて口に含まれるなんて、
恥ずかしい。でも気持ちいい。
途中からはしたなく腰が揺れていることなど、きっとこの男には知られてしまっているだろう。

「あっ・・・あっ・・・ああっ・・・!」

口腔全体を使ってきつく吸われ、リクオは脚の付け根をビクビクと震わせながら、鴆の口内に精を吐き出した。

全力疾走の後のような荒い息を整えながら、リクオは先に進もうとする鴆の手を止めた。

「オレも・・・同じこと、してやる」

むくりと起き上り、下腹に顔を埋めようとするリクオを、鴆は慌てて止めた。

「おいおい、無理すんなよ。あんたにそんなことをさせちゃあ」

焦った声を出す鴆を、リクオはじっと見上げた。

「嫌なのか」

真顔で尋ねる情人に、鴆はため息をついた。

「んなわけねぇだろ」

鴆は先端に滲んでいた先走りの液を懐紙でぬぐうと、じゃあしてくれよ、と胡坐をかいて後ろ手をついた。
促されて手で触れたことはあったけれど、まじまじとみるのは初めてだった。
鴆の雄は、その華奢な体格に似合わず立派なもので、雄々しくそそり立っていた。
こんなものを、己はいつも受け入れているのか。
リクオはごくりと喉をならすと、その屹立に顔を寄せた。
根元に手を添え、先端に口づけ、その鎌首を口に含んだ。

「っ…」

鴆の身体がぴくりと反応する。自分がされた時のことを思い出しながら、先端を吸い込むようにしながら舌を絡め、くびれをなぞり、先端の割れ目に舌先を差し入れた。
すると先端からみるみる液が滲みでてきたので、それも舐めとった。
さらに深く咥えこむと、鴆は低く呻いて、リクオの頭を抱え込んだ。
やり方なんて知らない。とにかく肉棒に舌を絡めながら、扱くように頭を上下させた。
口いっぱいに頬張ったそれを出し入れする度にはしたない水音がして、唾液が滴り落ちる。
きっと自分の愛撫は拙いだろう。口の中の鴆は熱く脈打っているけれど、これで達かせられるかなどわからない。
それでも、口の中にいるのが鴆のものだというだけで、この肉の塊がひたすら愛しく、舐めていると欲情した。

「リクオッ・・・放せっ・・・もう、やべえ…ッ」

慌てて引き離そうとする手を無視して、リクオが口内の雄をいっそうきつく吸い込むと、口の中に暖かい液体が広がった。
二度、三度と、断続的に。

「悪ぃっ、吐き出せ、すぐに!」

焦った鴆の言葉も無視して、こくりと飲み下した。その途端、リクオは顔をしかめる。

「・・・まじぃ」
「だから言ったろうが!っていうか毒、大丈夫か!?」

必死の形相でこちらの様子を検分する鴆の前で、リクオはぺろりと唇の端に残った残滓を舐めた。

「そんなん、今さらだろ。お前いつも中に出しているだろうが」
「あ・・・」

指摘すると、鴆は気まずそうに視線を泳がせた。
そういえば、最初にこらえきれずに中に出してしまった時にもこの男は大騒ぎした。
現金なもので、何ともないとわかってからは、毎回中に出すようになったけれど。

「――お前が、いつもうまそうに飲むから…」

目を伏せながら、ぼそぼそと言い訳をすると、鴆はふっと笑って、唇を寄せた。

「うまいぜ。あんたのはよ」

そんなわけあるか、と言いたかったが、言葉はすべて鴆の口の中に吸い込まれてしまった。
言葉より雄弁に、何度も重ねた唇と絡めた舌で、お互いの想いをひとしきり交わした後。

「・・・やっぱり、まじぃな」

自分のは。と顔をしかめる鴆に、リクオは、そら見ろ、と笑ってやった。




つづく

ほわいとでーに自分のホワイトチョコを呑ませる鴆…って下品ですいません;;

裏越前屋