五月 時鳥
3 スクリーンに映し出される街中の音や紡がれる会話の合間に、手元からは秘めやかな水音が聞こえてくる。 先端からにじみ出る先走りで濡れそぼった南郷の欲望を扱きながら、己の股間を服の上から慰めている骨ばった手を、南郷の手が捕えた。
すっかり形を変えているそれが南郷の手のひらに直に包まれると、逆に安堵の吐息がきこえてきた。 弱い部分を執拗に弄られているアカギは、意志の力で息さえも押し殺しているものの、彼がいつになく感じていることは気配と、手のひらから伝わってきた。 ひとしきりアカギ自身の形を堪能してから、アカギが自分を扱くリズムに合わせて全体を扱いてやると、彼は南郷の手のひらからさらなる快感を得ようと、手の動きに合わせて腰を揺らめかせた。 スクリーンの中では、主人公とヒロインが初めてのキスを交わしている。 隣をみると、暗闇の中で、アカギが上気した顔で南郷を見ていた。しっとりと媚態を含んだその顔に引き寄せられるように唇を重ねる。 それでも物足りなさそうな若い身体を満足させようと、南郷は上物のスーツの上着に手を入れ、シャツの上から乳首を探った。 「…ッ」 きつく摘まむと、アカギは南郷の口の中に声にならない嬌声を漏らした。 空いている方の手でシャツのボタンを外し、布越しではなく直接触ってほしいとばかりに南郷の手を導く。 こらえきれない嬌声が南郷の口の中に吸い込まれる。 感じれば感じるほど固く大きくなる果実を苛めながら、脈打つ分身を扱く手をますます速めた。 「…ッ…!」 パンパンにはりつめた分身を強く扱きあげながら、乳首をいっそう強くつねってやると、アカギは喉の奥でくぐもった声を漏らしながら、南郷の手の中に欲望を吐き出した。 息が整うまでの間、ハンカチでぬぐった手で再びアカギ自身を弄びながら、南郷は思考をめぐらせた。 南郷はまだ達していない。どうせなら、手でされるより、このいやらしい身体の中でいきたい。 アカギだって、こんなものでは満足していないはず。 ――席、外さないか? 一度達してなお、南郷の手のひらで脈打つ分身を緩やかに扱き、耳朶を甘噛みしながら、南郷は小声で誘いをかけた。 やることで頭がいっぱいの南郷さん…すみません…。 |
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