五月 時鳥
4 最初からこんな不埒なことを考えていたわけではないが、一番後ろの列の座席を選んでよかったと南郷はおもった。 もっと人が少なければ、そのままやってもよかった。
映画館の扉は、途中で出入りする客がいても場内に光が入らないように、二重扉になっている。 こんなところで何を…といいかけた口を、大きな手で塞いだ。 柔らかい耳朶を口の中でころがし、濡れた欲望の切っ先を、露わにした秘所にぐりぐりと押しつけながら、南郷は低い声でたしなめた。 「あんまりしゃべるとばれちまうだろう…いいのか?こんな恥ずかしい恰好を人に見られても」 今朝方繋がったばかりとはいえ、また小さくすぼまっているその部分を十分に濡らしてから、そっと指をもぐりこませる。 「ぅっ…」 行為に慣れた身体はやはり後ろへの愛撫を待ちわびていたらしく、南郷の太い指を咥えこんできゅっと締めつけた。 「んっ…んぅっ…」 中で指を折り曲げ、指の腹で内壁を擦るように抜き差ししているうちに、アカギは扉に両手をついたまま尻を突き出し、指の動きに合わせて、催促するように腰を動かしはじめた。 「んっ…んんっ…!」 中は想像した通り、溶かされそうなくらい熱かった。 「んっ!んんっ!んぅっ…!」 容赦なく中を抉られ、擦り立てられながら、口はしっかりと塞がれている。指の間から洩れるくぐもった声は苦しそうだ。 「んっ…んんっ…!」 苦しい思いをさせている罪悪感と、こんな場所で声を殺して彼を抱いているという優越感、 入れてからが短い…とりあえずこれで。 |
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