アカギの長い夜 |
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「バトルは楽しいってあんたたちはいうけれど、そのバトルであんたたちはどんな目にあいました?」 拓海はそういって兄達の誘いを断りました。 しかし、2人の兄はまる1年というもの、バトルに行こうと拓海を口説き続けました。 「わかりましたよ。あんたたちのつきそいでいいなら一緒に行ってもいいです。」
「ところで、旅に出るとして、あんたたちはどれだけお金を持っているんですか?」 と拓海がたずねると、2人はまたこりずに前と同じ愛車を買い、 しかし、拓海は言っても無駄と思ったか、一言も咎めませんでした。 くる日もくる日も旅先でバトルをしかけ、勝ったり負けたりを繰り返しましたが、 それから、もういちどバトルの旅に出ようとしていると、拓海はたまたま迷い込んだ路地裏で、
ぼろぼろの服はところどころ血がついていて、全身傷だらけのようです。 「んだよ、ぶっ殺すぞてめぇ!」 しかし、驚きのあまり硬直した拓海の前で、まだ若いその男はふたたび前のめりに倒れこむと、 拓海はしばらく悩んだ末、この男を宿につれて帰りました。
拓海はこの男を宿につれて帰ると、ぼろぼろの服を脱がせて手当てをしました。 拓海に凄んだその男は、目を閉じるときつい印象が幾分やわらいで、 拓海は兄達に先に行かせ、3日間看病を続けると、男はとうとう目を覚ましました。
「イテテ、ちくしょう・・・この俺様が人間風情にやられるとはな」 まだ寝ていたほうが、と止める拓海を無視して男は後頭部を抑えつつ起き上がりました。 「世話になったな・・・おまえ、名前は」 えらそうな物言いにややむっとしながらも、「藤原拓海」と答えると、 「腹減った。メシ」 と要求してきました。 拓海は腹を立てながらも宿屋の食堂で頼んで食事を持ってくると、 「俺は高橋啓介。この礼はいつかするぜ、藤原」 そう言うと、呆然とする拓海を残して出て行きました。
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