アカギの長い夜

 

 

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<健二先輩の話>

昔々、豆腐商人の息子、拓海は、17歳になると旅に出て、まる1年というもの家に帰ってきませんでした。
拓海はなつきという娘とつきあっていました。
拓海が旅から戻ってきてなつきの家をたずねると、家の前にはベンツが置いてありました。
そしてなつきの部屋に行くと、寝室のベッドの上で知らないおじさんが
裸のなつきといっしょに横になっているではありませんか。

「拓海君待って!なつき、さみしかったんだよぉ」
「もういい。ベンツの彼氏と仲良くやれよ」

そう行って拓海は背中を向けました。
拓海を引き止めたかったなつきは、

「なつきなしではいられない体になあれ!」

と唱えました。
すると、拓海はたちまち柴犬になってしまいました。

 

なつきは拓海が逃げないように鎖で繋ごうとしましたが、拓海はその腕をすり抜けて逃げ出しました。
外は雨が降っていましたが、拓海は戸口を飛び出し、どんどん走り続けていました。
しかし、前方でなにやら言い争う声が聞こえてきて足を止めました。
声は3軒ほど先の長屋から聞こえてきます。

「俺のことはほっといてくれって言ったろ!」
「啓介」
「もううんざりなんだよ。二度とここに来るな!」

そんなやりとりの後、若い男がため息をついて立ち去っていくのを、拓海はぼんやりと見ていました。
そうして男が立っていた戸口に近づいた途端、

「アニキ・・・!」

固く閉ざされていたはずの戸がバタンと乱暴に開きました。
中から出てきた、これまた若い男はしばらく視線をさまよわせた後、足元にいる拓海に気がつきました。

「・・・んだ、おまえかよ・・・」

そして気が抜けたように腰を落とすと、濡れ鼠になっている拓海の頭をわしわしと撫でました。

「迷子か?ちゃんと風呂に入るんならうちに来てもいいぞ」

啓介と呼ばれていたこの青年は拓海を抱え上げると、家の中に入れました。
拓海はバスルームで洗われて、すっかりふかふかのキレイな身体になって、
足の踏み場もないほど散らかってはいるものの暖かい部屋に通されました。

「ベッドに上がっていいぜ」

暖かいスープも与えられて身体はぽかぽかです。
拓海はベッドを半分空けると、布団に丸まってすぐに眠ってしまいました。

 

その夜、啓介は奇妙な夢を見ました。
それはえっちな夢でした。

目を覚ますと、見知らぬ若者が啓介の大事な部分を口に含んでいました。
おまえ誰だ、問う間もなく、青年は滑らかな舌でぴちゃぴちゃと音を立てながら、
おいしそうに啓介の肉棒を育てていきます。
清楚な顔とは裏腹の舌技に、啓介のそれは意思とは関係なくはりつめていきました。

すると全裸の青年は身体を起こすと啓介の上にまたがり、
すっかり固くなった肉棒を自分の中に埋めました。

「は・・・ぁん・・・」

身を沈めながら顔をあおのかせた青年の恍惚とした表情に啓介は目を奪われましたが、
その直後に襲い掛かった、今まで経験したことのない快楽に、すぐにそれどころではなくなりました。

「あん!あん!あん!あん!」
「く・・・っ」

青年が動くたびに熱く狭い肉襞がきゅうきゅうと収縮して、啓介のすべてを搾り取ろうとします。
繋がっている部分の快楽と、自分の上で淫らに腰を振る、名前も知らない青年の痴態に
啓介はすっかり心を奪われ、一度青年の中で達した後も、青年が求めるままに、何度も何度もえっちをしました。

 

朝、はっと目を覚ますと、啓介は全裸でベッドに横たわっていました。
激しいえっちをした後らしく、やけに疲れているわりには下腹はすっきりとしていました。
傍らを見ると、昨晩拾った柴犬が寝息を立てています。

「どーなってんだ??」

啓介は首をかしげました。寝る前はパジャマを着ていたはずで、
しかも見知らぬ男とえっちする夢を見るなどわけがわかりません。

啓介はふと寝ている柴犬を見ました。
昨日洗ってやるときに股間を確かめたら、オスでした。

「こいつのせいか?」

やっぱ彼女つくっかな・・・などとぼやきながら、啓介はともかく起き出しました。
ところが、えっちな夢はその日から毎晩続いたのです。

 

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