アカギの長い夜

 

 

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「・・・」
「・・・」
「・・・な、なんですかっ!?」

拓海の隣にだらしなく寝そべり、片頬をついて、にやにやしながらこちらを見上げている啓介に、
ベッドの上で体育座りしていた拓海は毛を逆立てた猫のように身構えました。

「見掛けによらずキワドイ話するよなーとか思ってよ」

牛にヤられるとかさあ。
と混ぜ返されて、拓海は耳の先まで真っ赤になりました。

「あれは昔先輩から聞いた話でッ!
それにそういう話じゃないとあんたすぐ変なことするから!!」

そうなのです。
拓海が恥ずかしがってそういうシーンをごまかそうとすると、
啓介はかならず不埒な手を伸ばしてきて、行為になだれこもうとするのです。
その度に手をぴしっと叩いては払いのけ、
自分があんあんいっている話を消え入りたい気持ちで話してしのいできたのです。

ゆでダコのような顔で反論する拓海を、啓介は涼しい顔で受け流します。

「・・・ちょっと、何やってるんですか?」

何気なく伸ばされた腕にあっというまにベッドに引き倒され、拓海は焦りました。

「何って決まってんだろ。話は終わったんだから」

弱点のひとつである耳朶を啄ばまれて、拓海の背筋にぞくりと電流が走ります。

「ずるいっ・・・オレちゃんと話したじゃないですか・・・!」

せめてもの抵抗とじたばたする拓海を、イイトコロを知り尽くした唇と指先がからめとってゆきます。

「だからひとりえっちは勘弁してやるんだろ?
・・・おまえの話おもしろかったぜ。また話してくれな?」

至近距離で、子供のように目を輝かせてお願いされてはもう何も言えず、
拓海は降ってくる王子様のキスを、おとなしく受け入れました。

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