アカギの長い夜

 

 

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それから拓海は王宮に連れて行かれ、女官の手によって湯浴みをさせられました。
髪の毛一本からあらぬところまでくまなく洗い立てられ、日に焼けて赤くなった首筋や
荒れた手にはクリームがすりこまれ、手の爪も足の爪もすべてぴかぴかに磨かれました。
ついで香油やらなにやらをつけられ、やけにすけすけで露出の高い衣装をきせられ、
頭や首や手首にアクセサリーをつけられ、やはりすけすけのヴェールまでかぶせられてしまいました。

そして作法を何も知らない拓海に、

「殿下がいらっしゃったら、最初に、『今宵一晩、殿下のお情けをいただきとうございます』
と言うのですよ」

と女官は教えました。

香が焚き染められた寝室に連れて行かれ、ここで待つようにと言われて女官たちが
さがってしまうと、拓海は急に心細くなりました。

(なんか俺・・・ヘンなとこに来ちまったなー。場違いな感じ・・・)

話し相手をするだけでいい、と史浩は言っていましたが、湯浴みの時の、拓海本人の
抵抗などものともしない身体の磨きようにはただならぬ気合が入っていました。

(はやまったかなぁ・・・)

どうせならこのまま誰も来ないで夜が明けて欲しい。そんな拓海の願いもむなしく、とうとう王子が部屋にやってきました。

 

 

 


「・・・」
「・・・」

敷物にひざまずいた拓海とその前に立つ啓介。奇妙な沈黙が続きました。

(えーと、俺から何か言わなきゃいけないのかな。何て言うんだっけ)

ちょっと緊張しているようです。ようやく女官に言われたことをおもいだすと、

「今宵一晩、殿下のお情けをいただきとうございます」

とやや棒読みぎみに言いました。

啓介は拓海の前に膝をつくと、拓海の顔を覆っているヴェールを上げ、無造作に顎を上向かせました。

「・・・やっぱ男かよ」

あきれたようにため息をつく王子はなかなかの男前です。
拓海は顎をつかまれたまま、啓介をじーっと見つめて反応を待ちました。
啓介も拓海をじーっと見つめた後、 「ま、いっか」と顎から手を離しました。

「おまえ、名前は?」
「藤原拓海」

一国の王子を前にして物怖じも媚びもしない拓海のまっすぐな目に、啓介はニッと笑いました。

「覚えとくぜ・・・オレは高橋啓介。ぼけっとしてないで、そのじゃらじゃらした飾り、さっさと外せよ」
「えっ」

さっさと服を脱ぎだす啓介に、拓海は動揺しました。

「服は脱がせて欲しいんなら脱がしてやってもいいけど。アクセサリーは引っかかったりして面倒だからな」

啓介は下穿き一枚の姿になって寝台に寝っころがります。
はやくしろよと促す目に拓海はのろのろとヴェールと装飾品を外します。

「・・・あのう、本当にやるんですか?」
「あんだよ、そのつもりで来たんだろ?」

確かにそのために連れてこられたのですが、そのつもりだったわけではありません。
寝台の傍でためらっている拓海を、延びてきた長い腕がぐいとひきよせました。

「うわっ」
「男なんてやったことねーけど。据え膳くわぬは男の恥だからな」

別に嫌なら無理しなくてもいいですっ・・・という必死の訴えは、覆ってきた唇にかき消されました。

 

 

「んっ・・・」

唇は2,3度様子をみるように軽く触れた後、深く覆いかぶさってきました。
自分のものでない舌が侵入してきて、歯列をなぞり、拓海の舌を捕らえました。
男とキスしてしまったことは大いにショックでしたが、不思議と気持ち悪さは感じません。
啓介も同じことを感じたらしく、「ん、これならいけるかも・・・」などと呟いて、
拓海の身体をまさぐりはじめました。

首筋をなめられ、乳首を親指の腹でこねくりまわされると、身体の奥からざわざわと
未知の感覚が這い上がってきます。
長い指に触れられ、肌を吸われる度に拓海はびくびくと身体を震わせました。

「は・・・あっ・・・」

探るように触れる啓介の指に敏感に反応し、恥じらいながらも感じているのを隠せない
拓海の様子には、男心をくすぐるものがありました。
このまっさらな身体をもっと乱れさせたくて、啓介はすでに勃ちあがりかけている中心に手を伸ばしました。

「あんっ・・・!」

握られた瞬間、口をついて出た恥ずかしい声に、拓海は真っ赤になりました。
ですが手の中のそれは正直です。2,3度擦られるだけで先走りの雫が
あっという間に啓介の手を濡らしました。
下肢から聞こえるはしたない水音が聞こえてきて、たまらずに目をつむります。

「気持ちよくてたまんねーって顔してるぜ・・・」

からかうような啓介の声に何も言えず、逃れるように身を捩りますが、それは逆に愛撫をねだっているようにも見えました。

「イかせてやるから・・・オレの名前呼べよ」
「殿、下・・・?」

熱で潤んだ目を開けると、啓介は意外にも真顔でした。その瞳の奥には拓海とおなじ熱が見えます。

「啓介だ」
「あっ・・・あ・・・啓介さ・・・!」

扱く手は激しさを増し、拓海は初めて人の手の中で精を放ちました。

 

はあ、はあという荒い息が途切れぬうちに、拓海の精で濡れた啓介の指は
より奥まった箇所をめざします。
未だ硬く閉ざされた蕾の周りをぐるりと円を描くように撫で上げると、
それだけで怯えたようにすくみ上ります。
拓海の蜜だけでは潤いが足りないと判断すると、傍のテーブルからガラスの小瓶を取りました。
中には薄桃色のとろりとした液体が入っており、啓介はそれを適量手のひらに出すと、
慣れた様子でそれを拓海の入り口に塗り付けました。

「ひっ・・・や、だ・・・」

いきなり冷たいものを塗られ、驚く間もなく液体をまとった指が侵入してきます。
何ともいえない異物感が拓海を襲います。

「やだ・・・気持ち悪い・・・」
「ちっとの間だけだ。我慢してろ」

勝手なことを言う啓介に腹が立ちましたが、組敷かれているのではどうにもなりません。
しかししばらく指が出入りしているうちに、吐き気すらすると思った感触が、次第に別の感覚へと変わっていきます。

「んっ・・・う・・・んっ・・・」

こらえるように硬く引き結んでいた唇はいつのまにか薄く開き、感じているとしか思えない声を漏らします。
啓介の指を受け入れている内部も、もっととねだるように艶かしく収縮しはじめました。
徐々に指を増やしていき、3本入れても大丈夫なほどほぐれた頃。

「ん、こんなモンか」

指を引き抜くと、代わりに啓介自慢のイチモツをそこにあてがいました。

 

「ヤ・・・アアアアッ」

指よりはるかに太い肉棒をあらぬところにねじ込まれ、拓海はパニックに陥りました。
しかし本人の心中などおかまいなしに、潤滑剤をたっぷりぬりこまれた秘所は
恥じらいながらも精一杯口を開けて啓介を飲み込もうとします。
拓海は苦しくてたまらないのに、啓介はといえば、

「くっ・・・おまえ、狭すぎ・・・」

などと勝手なことを呟きながら腰を動かし始めました。

「やだ、待っ・・・あぁんっ」

拓海の制止も聞かず、啓介はそれから三千六百と一回拓海を突いた後、拓海と同時に欲望を吐き出しました。

 

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