アカギの長い夜 |
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「実は、俺は異端の魔族のひとりで、親父がつくった豆腐を他の魔族に毎朝配達していたんです。 ある日、仲がよかった女友達の彼氏の密告で俺はつかまえられて、魔王様の前にひったてられました。 俺はずっと壷の中に住んでいました。 「もし今、ここから出してくれる人がいたら、その人を一生お金持ちにしてあげよう」 と考えていました。 ところがまる百年たっても、誰も助けてくれる人がいなかったので、今度は、 「もし今、ここから出してくれる人がいたら、その人に大地の宝庫を開いてあげよう」 と思いました。 それでも百年間、誰も助けてくれる人がいなかったので、今度は、 「もし今、ここから出してくれる人がいたら、その人の望みを3つ叶えてあげよう」 と思いました。 それでも百年間誰も助けてくれなかったのでちょっとムカついて、 「これから先、もし俺を助けてくれる人がいたら、そいつを殺してやろう。 と思ったんです。 そこに啓介さん、あんたが俺を救い出してくれたんです。
「ふ・・・」 啓介は拳を震わせました。 「ざけんなてめー!つまりは自分が先輩殴って閉じ込められたんだろーが!」 拓海はきゅっと唇を引き結び、 「恩人だからこそあんたを殺すんです。さっさと言わないと、俺が適当に決めてしまいますよ」 と頑固に言いました。 (くそっ、じじいみたいに頑固な奴だぜ。なんとかしてこいつを説得しないと・・・)
啓介は考えました。 (このまま死ぬなんて冗談じゃねー。
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