水族館
by さかきさま

 

5

 

 ―――閉館後―――


 エレベーターが来たのでそのまま乗り込んだ。
 すでに閉館時間も過ぎていて、一緒に乗り込んでくる人もおらずに二人だけ。

「夜景見れなかったのは残念だが、結構面白かったな」

 不機嫌なままの啓介は、じろりと横目で中里を伺う。
 一つ息を吐き出すと、啓介の頭へと手をやり髪をくしゃりとした。

「まだ怒ってんのか?」
「怒ってねェよ」
「そうか……」

 啓介の頭から手を離し、背後に背を預ける。
 言葉がないと、本当にエレベーターの微かな音だけになってしまう。
 こういう密閉空間は、あまりいい気分がしない。
 啓介も、本当は静かなのは苦手のはずだった。
 流石にいつまでも沈黙を続けることが出来ないのだろう、中里をちらちら見てくる。

「腹…減ってねェか?」
「………減ってる…」
「近くに、いいとこあるからそこで食べようぜ」

 本当は中里も教えて貰った店で行ったことはないのだが、あえてそんなことを啓介に言う必要もないだろう。余計なことをいうと、また機嫌を悪くしかねない。

(女に教えて貰った店なんて知ったら……)

 啓介が楽しかったら、それでいいのだから―――。

 

 満面の笑みで頷く啓介を見ながら、ポーンと一階に着いたことを知らせる音が鳴った。

 


さかきさまコメント

恭子さん、企画テーマこんなんでいいのかしら?
ちょっと不安ですわ。
そして近くのいい店というのは、「Milky way」のことですわ〜vv
いい店というより、面白い店でしたね。
メニューが変わっていたのが残念でしたが、また行きたいですわ。

恭子コメント

さかきさま、かわいい中啓小説をありがとうございましたv
そこここにちらばっている体験談におもわず顔が・・・
だってマンボウとアザラシ間違えるのってどうよ。ねえ?
乙女ちっく炸裂な店 「Milky way」・・・この二人がはいったら
めっちゃうきまくりですね・・・。早々にありがとうございました!
私もこれからがんばりますよ・・・。

 

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