街と夜空と啓介さんと
by 恭子


5

 ―――夜景再び―――

 

先刻と同じ夜景を、拓海は再び眺めていた。ただし、今は同じ建物の中、ホテルの窓から。

「あ」

白い光が目立つ中で、ひときわ明るく目立っていた赤――東京タワーのライトがふっと消えた。

「停電かな」
「ばーか、時間だからだろ」

首をかしげる拓海に笑って、啓介は窓に張り付いていた身体を自分のほうに向けた。

「その服、似合ってるぜ」

髪を梳きながら穏やかな表情で囁かれても困る。先にシャワーを浴びた啓介はバスローブ一枚の
姿で、柔らかそうな白のパイル地からは、しっかりした体格を伺わせる胸元が顔を覗かせている。
洗いたての髪は自然に落ちていて、拭いきれなかった水滴が時々毛先から落ちていく。
髪をおろした啓介など何度も見ているというのに、未だに目にする度にどきどきする自分をおさえられない。
そして啓介は、こういう時に自分が拓海の目にどう映っているのかをよく知っている。

もとより自分の容姿などに頓着するタチではないが、これで拓海を落せるならば最大限に利用してやる。
案の定ぼうっと啓介に見とれている拓海に、チャンスとばかりに口づける。

「・・・ッ、啓介さん――俺、シャワー・・・」
「だめ。もう待てねー」

もがく身体を抱きしめてシャツのボタンに手をかける。昼間、啓介が見立てたノースリーブの涼しげなシャツが、
ぱさりと軽い音を立ててカーペットに落ちた。

 

「知ってっか?恋人に服贈るのはそいつを脱がすためだってさ・・・」

 

おわり


と、なんだかしまらないままおわる・・・。タイトルも生きてないですね。すみません;
企画にのってくださったさかきさま、ありがとうございました(*^^*)
 

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