ごはんは炊いてあったので干物をグリルに入れ、冷蔵庫を開けて今朝の味噌汁の具を物色する。
実家の豆腐とネギと油揚げ。野菜室に残っていたほうれん草はおひたしにして片付けてしまおう。
先日自分で漬けたなすの漬物をあげ、昨夜作った煮物の残りを温めていると、
干物が香ばしい匂いをたて始める。

拓海にとっては物心ついたころからこんな感じの朝食だったが、両親ともに忙しい高橋家では、
ずっとパン食、しかも皆好きな時間に起きて勝手に食べるというスタイルだったらしい。
ずっとパンだったのならそうしましょうかと啓介に持ちかけたこともあったが、別にこだわりが
あるわけではないし、拓海が作ってくれるなら俺は何でもうれしいぜ?と微笑まれて
なんとなく和食が続いている。 それにどうやら、パンよりご飯の方が腹持ちがいいらしい。

拓海はおたまを持ったまま丸い壁掛け時計を振り返り、寝室を見た。

(そろそろ啓介さんを起こさないとな)

 

 

啓介を呼ぶ
起こしに行く