秋祭り




内側から鍵をかけたその広間で、エアはその後もさんざん泣かされることになった。

「やっ…も…いきたい…」

「まだだよ、エア」

久々に口で愛撫されて、すぐにでもイキたいのに、根元を押さえられていてそれが赦されない。

感じすぎて痛い。こんな苦しい愛撫を自分に与えるのはジルだけだった。

先走りの液で濡れている先端を、煽るように強く吸われれば、エアは内腿をびくびくと痙攣させ、声にならない悲鳴と共に果てた

――ただし、射精を伴わないまま。

全身の力が抜け、過ぎた快感に呆然としながら、息を切らしている間に、

膝を胸に付くほど身体を折り曲げられ、露わになった後口に熱く湿った舌が這うのを感じて、エアはぎょっとした。

「あっ…ちょっ…休ませ…」

「悪いけど、今夜は僕にも余裕がないからね」

舌で入り口をほぐしながら、涼やかな声でジルが答える。

なら、さっきからさんざん自分を泣かせている、このねちっこい愛撫は何なんだと詰め寄りたいところだが、

今のエアには甘い声で喘ぐことしかできなかった。

「やだ…も、欲しいっ…」

「だめだよ、まだ慣らさないと」

恥ずかしい部分をさんざん舌と指で探られる羞恥と快感に、また涙がこぼれた。

「トォルのも、ココに入れた…?」

「…え…?」

舌では届かない奥を三本の指で探りながら投げかけられた言葉の意味が、快楽で霞んだ頭では理解できず、

エアはうわ言のように聞き返した。

「…いや、やめておこう。今、聞いたら嫉妬でどうにかなりそうだ」

ジルが、嫉妬?

珍しく余裕のない声で呟かれた、耳慣れない言葉に、エアは目を見開く。

「きみを僕だけのものにしてしまいたいよ。昔の時のように」

大好きなミントキャンディ色の瞳が、熱を湛えて、エアを見つめている。

いつも冷静な彼が、いままでになく独占欲や執着の色を露わにして。

「ジル、俺も」

戻れるものなら戻りたい。

お互いさえいれば、他は誰もいらなかったあの日に。

トォルとのことを決して後悔しているわけではないが、もし自分もジルも、

あの頃のようにお互いしか見ていなかったら、こんなに苦しむことはなかった。

「でも、トォルと別れることなんてできないだろう?僕もニィルと別れることはできない。

もうあの頃には戻れないんだから」

また潤んだ瞳からこぼれた新たな涙を、ジルは吸い取った。

「愛しているよ、エアリエル」

もう一度そういうと、ジルは華奢な脚を抱えて、己の昂ぶりを狭くて熱い狭間へと突き入れた。




「あっ、あんっ、あんっ」

どこもひやりとしたジルの身体の、いちばん熱い部分が、硬く大きな昂ぶりとなって、エアを間断なく突いている。

どちらかが達く度に体位を変え、もう無理だとすすり泣いても、赦してもらえなかった。

「きみの身体はもっともっと、って僕を咥えこんで離さないよ」

いやらしい子だな、エアは。

そんな言葉でまでなぶられて。

「あっ…あんっ…ジル…ジルフィ…!」

再び腰を打ちつけられれば、甘い悲鳴を上げながらその動きに合せて自らも腰を揺らめかせるのだった。