アムネジア




エアがジルのことを忘れていたのは、たったの二日間。

しかし、二人はそれまで長い間生き別れていたかのように、飽くことなく熱烈な口づけを交わした。

「う…ん」

ピンクの泡に包まれた暖かい湯の中で、エアはジルの膝の上に乗り、向かい合わせに抱き合って、

それぞれの思いの丈を、キスで伝え合う。

舌を吸われ、歯列や口腔をくまなく愛撫されて、下腹に不埒な熱が集まってくる。

舌を絡ませながら、首に巻きついた腕に力を籠め、ねだるように身体を摺り寄せると、

同じく硬くなっているジルの分身と擦れ合った。

「あっ…ん」

思わず喘ぎ声を漏らすと、ジルの手が滑らかな背を滑り、形のよい双丘に降りた。

小さく締まったそれを湯の中で揉みしだかれ、エアは切なげに喘いだ。

すらりと美しい指が谷間の奥の入り口を探り、つぷりと侵入する。

オイルも使わずに入れられて、エアは異物感に眉を寄せたが、何も言わずにジルにしがみついた。

「あっ…あぁん…」

指の動きと共に、湯までが中に入ってくる感覚に、エアはジルの背中に爪を立てて耐える。

そんな弟のけなげで悩ましげな表情を見ながら、ジルも息を荒くする。

「あっ…ジル…」

潤滑剤の助けなしで三本の指を飲み込むのはきつくて、エアは涙目でジルを見上げるが、

ジルはだめだ、と首を振る。

「僕ことを忘れた、おしおきだよ」

甘くなじるように囁かれて、上気したエアの頬はますます熱くなった。

三本の指でさんざんかき回された後、熱く猛ったジルのものが、湯と共に中に入ってきた。

「あんっ…ぁあんっ…」

下から激しく突き上げられながら、つんと尖った乳首も苛められる。

泡の中に落ちたアクアブルーとオーロラピンクの髪の毛が、ゆらゆらとゆらめき、絡まり合う。

ここは常春の花の国。甘い香りがただよう月の光の下で、美しいシルフの双子はいつまでも互いを求め合った。