アムネジア
9
エアがジルのことを忘れていたのは、たったの二日間。 しかし、二人はそれまで長い間生き別れていたかのように、飽くことなく熱烈な口づけを交わした。 「う…ん」 ピンクの泡に包まれた暖かい湯の中で、エアはジルの膝の上に乗り、向かい合わせに抱き合って、 それぞれの思いの丈を、キスで伝え合う。 舌を吸われ、歯列や口腔をくまなく愛撫されて、下腹に不埒な熱が集まってくる。 舌を絡ませながら、首に巻きついた腕に力を籠め、ねだるように身体を摺り寄せると、 同じく硬くなっているジルの分身と擦れ合った。 「あっ…ん」 思わず喘ぎ声を漏らすと、ジルの手が滑らかな背を滑り、形のよい双丘に降りた。 小さく締まったそれを湯の中で揉みしだかれ、エアは切なげに喘いだ。 すらりと美しい指が谷間の奥の入り口を探り、つぷりと侵入する。 オイルも使わずに入れられて、エアは異物感に眉を寄せたが、何も言わずにジルにしがみついた。 「あっ…あぁん…」 指の動きと共に、湯までが中に入ってくる感覚に、エアはジルの背中に爪を立てて耐える。 そんな弟のけなげで悩ましげな表情を見ながら、ジルも息を荒くする。 「あっ…ジル…」 潤滑剤の助けなしで三本の指を飲み込むのはきつくて、エアは涙目でジルを見上げるが、 ジルはだめだ、と首を振る。 「僕ことを忘れた、おしおきだよ」 甘くなじるように囁かれて、上気したエアの頬はますます熱くなった。 三本の指でさんざんかき回された後、熱く猛ったジルのものが、湯と共に中に入ってきた。 「あんっ…ぁあんっ…」 下から激しく突き上げられながら、つんと尖った乳首も苛められる。 泡の中に落ちたアクアブルーとオーロラピンクの髪の毛が、ゆらゆらとゆらめき、絡まり合う。 ここは常春の花の国。甘い香りがただよう月の光の下で、美しいシルフの双子はいつまでも互いを求め合った。
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