緋襦袢で四十八手
1. 岩清水(いわしみず)
仰向けに寝そべる鴆の顔の上にまたがれと言われて、ためらった。 いつまでも枕元で戸惑っていると、鴆はむくりと起き上って、じゃあここに膝立ちになってくれと、乱れた敷布を示された。 鴆の背中のぬくもりが残る敷布の上で、言われるままに脚を広げて膝立ちになると、後ろから鴆の頭が潜り込んできた。 大きな骨ばった手が、緋色の襦袢をまとわりつかせた太股を掴んで、ふいに下に引っぱられる。 バランスを崩したリクオは、鴆の顔の上に腰を下ろすことになり、とっさに後ろ手をついた。 その瞬間、根元をねろりと舐められて、リクオはびくっと腰を浮かした。 「ひぁ…ぁっ…」 太股を掴んだ手が、逃げる腰を引きもどし、陰部と顔が、より密着した体勢で舌を這わされる。 「あっ…あんっ…」 双球の谷間から茎の根元にかけて、熱く湿った感触が執拗に這いまわり、皺の一本一本まで舌先でまさぐられる。 先刻までさんざん弄りまわされていた若い雄はとうに屹立していた。 鴆の舌が音を立てて根元を舐め上げ、袋をきつく吸ったり歯を立てたりする度に、先端から透明な滴がとめどなくあふれ出て、茎を伝って根元へ――つまり、鴆の口へと流れ込んだ。 「すげーイイ眺め」 喉を鳴らして滴を飲み下す鴆の言葉に、頬が熱くなった。 そう、鴆に全てを見られている。 はしたなくはだけた赤い襦袢の間から露わになっている脚も、 布地をかき分けていきり立っている分身も、 根元を舐められてだらしなく先走りを零す先端も、 そして、こんな体勢で与えられる愛撫に、 羞恥に震えながらも感じてしまっている自分の顔も、 すべて明るい緑の目で余すところなく見られている。 たまらず腰を浮かそうとすれば、骨ばった手がぐいと太股を掴んで、一層顔に陰部を押しつけることになった。 「あっ」 またもや袋を強く吸われ、谷間に舌を這わされる。 「どんな美酒よりもうめーな、あんたの滴は… もっとたくさん飲ませてくれよ」 ここをいじったらもっと出るか? ぴちゃぴちゃと音を立てながら、下から観察するように見上げてくる緑の目に気を取られていたリクオは、 潤滑剤をつけた冷たい指が後孔に潜り込んでくる感触に、またドクリと先端から透明な液を溢れさせた。
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