緋襦袢で四十八手
2. 鳴門(なると)
「リクオ、こっちに来いよ」 柱を背に座った鴆がリクオを促した。 赤い襦袢姿一枚の姿で、今夜は一体何をする気かと身構えていたリクオは、 未だ長着を着たままの鴆に警戒しつつ、近づいた。 鴆はそんなリクオの腕を引っ張り、後ろ向きに自分の脚の間に座らせる。 鍛えられた身体を抱きしめ、白い首筋に何度も口づけを与えると、 リクオはくすぐったそうに首を竦めながらも、身体の力を抜いた。 背中に当たる体温が、抱きしめる腕が、リクオを安心させたらしい。 だが、リクオの身体から力が抜けるのを待って、大きな手は不穏な動きをはじめた。 片方の手が懐に忍び入り、なだらかな胸の頂にある突起をつまんだ。 「あっ…」 小さな粒を指の腹で扱きながら、反対側の手は赤い襦袢の裾を割り、 はだけた布の下から現れた真っ白な内腿に触れた。 強く擦る度に固く大きくなっていく乳首と、内腿のしっとりと吸いつくような肌の感触を愉しみ、 もどかしそうに身動きするリクオの望みに応えて、内腿を撫であげていた手を、未だ下帯をつけたままのそこへと滑らせた。 「あっ…ん」 下帯越しにそこを掴まれて、リクオはびくっと身体を跳ねさせた。 大きな手で揉みしだくと、ほどなく下帯の中から秘めやかな水音が聞こえ始め、 リクオは甘い声を上げながら、恍惚とした表情で鴆の身体に背を預けた。 はだけた赤い襦袢の間から覗く白い脚は、鴆の愛撫をもっと得ようと無意識に開き、 いつしか鴆の両脚をまたいでいた。 さらなる愛撫を求めて腰をゆらすリクオの媚態に応えて下帯を解くと、 先走りに濡れたはちきれそうな若い雄が、中からまろび出た。 「あっ…あっ…」 先端からはしたなく溢れ続ける滴が、鴆の手と茎全体を濡らし、 さらには奥で息づく部分まで伝っていった。 鴆は分身を弄る手を止めると潤滑剤を引き寄せて薬剤を掬い取った。 つめてえぞ、と前置きして、潤滑剤をつけた指をひくつく穴に差し入れる。 「あっ…」 リクオが喉を震わせ、わずかに腰を浮かせた。 それは鴆の指を迎え入れる動きで、指は熱を持った狭い内部にゆっくりと潜り込んでいく。 秘めやかな水音とリクオの甘い嬌声だけが室内を満たした。 内部を探る指が増え、鴆を受け入れることに慣れた身体が、指を歓迎するように艶めかしく揺れるのに、そう時間はかからなかった。 三本の指を難なく飲みこめるようになると、鴆は指を引き抜いた。 己の前をくつろげると、すでに猛っている雄を取り出し、リクオの腰を浮かせて、熟れた入口に切っ先をあてがう。 「あっ…あっ…!」 腰に手を添え、ゆっくりと腰を落させた。 自分の重さで繋がりが深くなっていく感覚に身を委ねていたリクオは、奥まで身体を沈めてしまうと、 鴆をまたいで腰かけた格好のまま、戸惑うように鴆を振りかえった。 「好きなように動いてみな」 柱にもたれかかった格好でリクオを腹にのせたまま、ニッと笑う鴆の言葉に、リクオは余計に戸惑いの色を濃くした。 ほら、と促すように腰を掴み、円を描くように動かしてやると、リクオはやっと自分で動き出した。 おそるおそるだった動きは、内壁を擦られる快感に煽られて、次第に大胆になっていく。 自分のいいところを見つけると、先端がそこに当たるように、腰を動かし始めた。 恥じらいに頬を染めながらも自分から快楽を追い、奔放に腰を振る姿はとても淫らで愛おしかった。 鴆は屹立する若い雄と、固く尖った乳首に手を伸ばし、 それぞれを愛撫しながら、やわらかい耳朶を甘噛みする。 リクオの動きはつたないが、きゅうきゅうと締めつける肉壁が鴆の精を絞り取ろうとしていた。 骨ばった長い指で滴に濡れたくびれの部分を刺激すると、 リクオは喉を震わせて逐情し、中にいる鴆を一層きつく締めつけた。
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