緋襦袢で四十八手
11. 櫓立ち(やぐらだち)
「ちょ、鴆、無理すんなっ…!」 「大丈夫だって。オレを信じろよ」 立ったまま片足を掬い上げ、挿入した状態で、二人は揉めていた。 「てめー、この間腰痛めたのを忘れたのか!」 こんな状況で言うのは野暮とはわかっていても、リクオは言わずにはいられなかった。 鴆は以前リクオを横抱きにしようとしてひっくり返り、腰と肋骨を痛めて、半月ほど寝込んだことがある。 自分と同じ体重の者を持ち上げるのには相当な力がいる。 ましてや鴆の細腕で、今のリクオの身体を支えられるとは到底思えなかった。 だが鴆はけろりとして、抗議するリクオの口をふさぐように軽く口づける。 「オレがあんたを落とすわけねえだろ? いいからしっかりつかまってな」 「やめ…あっ…!」 この前派手に落としてくれたのはどこのどいつだ、 と反論する前に、もう片方の足も掬い上げられ、 支えを失ったリクオ自身の重さで、つながりは一層深くなった。 赤い襦袢の裾がはだけて、中からあられもなく広げられた白い太腿があらわになる。 「あっ…あっ…あんっ…」 お前には無理だと言われたことへの意趣返しなのか、 下から力強く突き上げられて、リクオはなすすべもなく揺さぶられながら喘いだ。 抱え上げられたリクオの腰の下に垂れ下がった赤い襦袢は、 突き上げられる度に鴆の足元で揺らめいた。 不安定な姿勢に、首にいっそうしっかりと抱きつくと、 荒い息と共に、艶のある低音がリクオの耳をくすぐった。 「オレを信用しろって、リクオ。 んなにしがみつかなくったって、落としゃしねえよ」 何の根拠もない言葉だけれど、その声と、両脚を抱え上げる腕はゆるぎなくて。 リクオは力を抜いて、鴆の身体に身をゆだねた。 |
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