緋襦袢で四十八手


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. 櫓立ち(やぐらだち)




「ちょ、鴆、無理すんなっ…!」

「大丈夫だって。オレを信じろよ」

立ったまま片足を掬い上げ、挿入した状態で、二人は揉めていた。

「てめー、この間腰痛めたのを忘れたのか!」

こんな状況で言うのは野暮とはわかっていても、リクオは言わずにはいられなかった。

鴆は以前リクオを横抱きにしようとしてひっくり返り、腰と肋骨を痛めて、半月ほど寝込んだことがある。

自分と同じ体重の者を持ち上げるのには相当な力がいる。

ましてや鴆の細腕で、今のリクオの身体を支えられるとは到底思えなかった。

だが鴆はけろりとして、抗議するリクオの口をふさぐように軽く口づける。

「オレがあんたを落とすわけねえだろ?

いいからしっかりつかまってな」

「やめ…あっ…!」

この前派手に落としてくれたのはどこのどいつだ、

と反論する前に、もう片方の足も掬い上げられ、

支えを失ったリクオ自身の重さで、つながりは一層深くなった。

赤い襦袢の裾がはだけて、中からあられもなく広げられた白い太腿があらわになる。

「あっ…あっ…あんっ…」

お前には無理だと言われたことへの意趣返しなのか、

下から力強く突き上げられて、リクオはなすすべもなく揺さぶられながら喘いだ。

抱え上げられたリクオの腰の下に垂れ下がった赤い襦袢は、

突き上げられる度に鴆の足元で揺らめいた。

不安定な姿勢に、首にいっそうしっかりと抱きつくと、

荒い息と共に、艶のある低音がリクオの耳をくすぐった。

「オレを信用しろって、リクオ。

んなにしがみつかなくったって、落としゃしねえよ」

何の根拠もない言葉だけれど、その声と、両脚を抱え上げる腕はゆるぎなくて。

リクオは力を抜いて、鴆の身体に身をゆだねた。




10前  12


 

鴆さんじゃ無理無理・・・と思うけれど、お題完遂のために書いてみた。



裏越前屋