緋襦袢で四十八手
14. 百閉(ひゃくへい)
「う…んっ…」 腰骨に手を添えて導いてやると、鴆の上に跨ったリクオは、自分からゆっくりと腰を落とした。 自分から積極的に求めることをめったにしないリクオだが、この体勢は好きなのか、素直に鴆の腹に乗ってくる。 先端をもぐりこませるところまで手伝ってやれば、自ら昂ぶりを飲み込み、教えたとおり円を描くように腰を動かし始める。 鴆の胸に入った毒の模様に手をつき、飲み込んだ先端が自分のイイところに当たるように腰を動かす、 少し恥らいながらも恍惚とした表情を眺めるのも好きなのだが。 膝を立てて、後ろに手をついて動いてくれないかと言ったら、リクオは案の定、戸惑った表情をした。 「あんたを全部見たいんだ。なあ、いいだろ?」 熱心に懇願すると、そっと目を伏せ、ためらいがちに言われた体勢を取った。 膝を立てると、鮮やかな緋色の襦袢の裾が割れて、白い脚が露わになった。 後ろ手をついて膝を開くと、つながっている部分も、勃ちあがっているリクオ自身もよく見えた。 怒張を飲み込んだ入り口は薬液で濡れて光り、鴆の茂みまで濡らしている。 リクオの先端からは先走りの液がとめどなく流れ、リクオ自身と根元のまばらな茂みを濡らしていた。 「…っ、馬鹿っ、大きくすんなっ…」 中で大きく脈打つ感覚に身体を震わせ、リクオが小さく抗議する。 「んなこと言ったってなあ」 こんな絶景を前にして興奮するなというほうが無理というものだ。 おまけに狭い肉壁は鴆の欲望を熔かそうとするかのように熱く締め付けてくる。 答える代わりに、促すように下からゆるく突き上げると、 リクオは小さく喘いで、自らも鴆の動きに合わせて腰を動かし始めた。 「あっ…ぁんっ…あんっ…」 リクオが動く度に、はだけた赤い襟元も揺れる。 白い肌には点々と薄紅色の痕が残っていて、先刻までさんざん苛めていた乳首も見え隠れしていた。 すっかり敏感になっている胸の頂は、動く度に絹布に擦られ、もどかしい思いをしているに違いない。 今夜はろくに触れていないリクオ自身は、鴆の視線に反応して涙を流し、はだけた襦袢と腰帯を濡らしている。 「全部見えるぜ…つながっている部分も、あんたの分身も、感じてるあんたの顔も…すげー色っぽい」 「んなこと…いうな…ッ」 鴆の言葉にリクオは頬を赤く染めて目をつぶり、中の鴆をきつく締め付けた。 その表情と与えられた刺激に、中の鴆がどくりと脈打ち、いっそう硬さを増した。 「あ、んっ…!」 羞恥で感じるようになってきたのはいい傾向だ、と鴆は内心ほくそえんだ。 最初は屈辱と自己嫌悪が彼の中でせめぎ合っていた。 抱かれて感じる快楽がおかしいことではないと教え込むのに、どれだけの時を費やしただろう。 まだ受け身で、リクオから自分を求めてくれることはめったにないけれど、時間をかけて愛していけばいつかはきっと。 リクオの動きに合わせて下から突き上げながら、そのうち言葉責めで達かせてみたいなあ、などと思う鴆であった。 |
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