緋襦袢で四十八手
15. 宝船(たからぶね)
「痛えっ!」 「あ、わり…」 鴆の悲鳴を聞いて、リクオは足を支えていた手を離した。 仰向けに横たわった鴆の腹に横向きにまたがったリクオは、 言われたとおりに鴆の片脚を垂直に抱え上げようとしたのだが、 あいにく彼の身体はリクオのそれよりもはるかに硬いらしい。 悲鳴を上げた脚は、膝から足にかけて、情けなく折れ曲がった。 「ったく、こんな硬え身体でよくオレにあれこれできるな。おめーがオレの立場だったら絶対泣いてるぜ」 己の分身を、抱えた太腿に擦り付けるように腰を動かしながら、リクオは文句を言った。 深く身体を沈める度に、より奥に楔が入ってくる。 鴆の身体に乗り上げた脚は赤い襦袢の裾がめくれ、脚がはしたなく露わになっていたが、 感じている顔を正面から見られずに済むのは何よりだった。 鴆の太腿を抱えたまま、黙々と腰を動かしていると、 「逆の立場になりたいか?」 ぽつりとつぶやかれた言葉に、リクオは動きを止めた。 両手で脚を抱いたまま、鴆を振り返る。 すると、思いの他真摯な緑の目とぶつかった。 「あんたがそうしたいってんなら、オレは」 「…別にいい」 言いかけた鴆の言葉を遮って、リクオはふいと顔を背けると、抱えた膝に口づけた。 時折戸惑うことはあるけれど、鴆に愛されていると感じるのは好きだ。 リクオは腕の中の腿を抱きしめながら、内部で楔を扱くように腰を動かし始めた。 |
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