緋襦袢で四十八手
20. ひよどり越え(ひよどりごえ)
「この体勢ならやっぱりこうしねえとな…」 露わになった百鬼模様が刻まれた背中を、鴆は満足げに眺めた。 獣の体勢で這ったリクオは、桜模様の入った赤い襦袢の袖を抜かれ、腰の上まで裸体をさらしている。 鴆が憧れてやまない、硬い筋肉で覆われた、それでいて鞭のようにしなやかな背中。 常に身体を張って戦っている若き大将の背中の一番上に、己と同じ毒羽の模様がある。 目にする度に誇らしく、同時に胸の奥から熱い気持ちがこみ上げてくる。 「模様、また増えたんじゃねえか?」 最初に自分の模様を、次に他の百鬼の模様を一つずつ舌でなぞっていくと、リクオはくすぐったそうに身をよじった。 愛撫を逃れようとする身体を戒めるように、両胸の飾りをきゅっと抓る。 するとしなやかな背中はびくりと跳ねて、白い喉の奥からは甘い嬌声が上がった。 みるみる硬くなる小さな粒を強めに抓りながら、百鬼の模様に舌を這わせると、今度は応えるように身体を震わせた。 乳首をいじっていた片方の手で襦袢の裾を割り、みずみずしい内腿、骨が浮き出た腰、 そして小さく締まった尻を撫でまわした。 双丘の谷間を辿って奥の入り口に指先が触れると、リクオは小さく喘いで息をつめる。 つつましやかなその形を何度かなぞってから、薬入れに手を伸ばし、指にたっぷりと薬液をつけた。 冷てえぞ、と断ってから、ひくつく入り口に触れる。 ひやりとした感触に小さく震えたものの、愛撫に慣れた秘所は、骨ばった指をあっさりと飲み込んだ。 「あっ…ん」 内部を探るようにゆっくりと動かすと、熱を持った内壁は、指を歓迎するように締め付けながら、 なまめかしく腰を揺らめかせた。 「リクオ…」 おそらく無意識の媚態に誘われるように、鴆はリクオに覆いかぶさった。 「あ…あっ…!」 すっかりいきり立った昂ぶりを、狭い肉壁が締め付ける。 すぐにでも精を搾り取ろうとする動きに対抗するように奥歯をかみしめ、鴆は激しく腰を打ち付け始めた。 「あっ…あっ…あんっ…!」 揺さぶる度に、白い背の百鬼模様が揺れる。 見る度に増えていく背の模様を見ながら貫いていると、この上なく誇らしく、愛しい気持ちでいっぱいになる。 ここ最近、リクオは見違えるほどに色っぽくなった。 あふれる男気と匂い立つ色気に誘われて、リクオに想いを寄せるものも多いと聞く。 出入りにも連れて行ってもらえない鴆は気が気ではない。 だが、彼がどれだけの妖怪と盃を交わし、どれだけの下僕を鬼纏おうとも、この背中を抱けるのは自分だけだ。 「あんっ…あんっ…鴆っ…!」 先端の張った部分で弱点を執拗に擦られ、リクオが甘い悲鳴を上げる。 すでに腹につくほど立ち上がり、先端から涙を流しているリクオの分身を握りこみ、 鴆はリクオの中に自分の精を注ぎこむために、ますます激しく腰を打ちつけはじめた。 |
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