緋襦袢で四十八手
24. うぐいすの谷渡り(うぐいすのたにわたり)
緋色の襦袢に身を包んだ愛しい恋人を抱き寄せると、鍛え抜かれたしなやかな身体は従順に鴆の腕の中に納まった。 衣擦れと秘めやかな水音、そして二人の吐息だけが聞こえる中、滑らかな口腔を舌でまさぐれば、 リクオはうっとりと目を閉じ、全身の力を抜いた。 口づけに夢中になっているのを見計らって、そっと褥に横たえる。 整いすぎて冷たい印象すら与える美貌が、今は濡れた目でぼんやりと鴆を見上げている。 その無防備な表情に劣情を掻きたてられ、鴆は白い首筋に引き寄せられるように顔を埋めた。 「ぁっ…」 舌を這わされ、リクオの身体が小さく震えた。 襟に隠れるぎりぎりのところに痕を残しながら、腰帯を緩める。 はだけさせた胸元からのぞく淡い色の頂に舌先で触れると、敏感な身体はびくりと跳ねた。 「あ、んっ」 先刻の執拗な口づけで、小さな粒はすでに硬く立ち上がり、わずかな刺激からでも快感を拾う。 鴆はひっそりと笑い、唇と指で両方の乳首を交互に愛しながら、空いている手で脇腹を撫で上げた。 鍛え抜かれた硬い腹筋の上に舌を這わせれば、リクオは身体をよじらせ、喉を震わせて甘く鳴いた。 形のよい臍に舌先を潜らせて奥を突くと、無意識に開いた脚が鴆を挟み込んだ。 赤い襦袢の裾が割れて、中から光り輝く白い脚が現れる。 腰がもどかしげに揺れ、すでに勃ちあがり、先端から滴をこぼしている分身を鴆の腹に擦り付ける。 もっとも愛撫を欲しているその部分を深く咥えこみ、強く吸い上げるように口腔と舌で扱きあげれば、 リクオは内腿を細かく震わせ、かすれた悲鳴を上げて精を吐き出した。 口内の甘露を残らず飲み干すと、未だに腿を震わせ、力の抜けた脚を掬い上げた。 脚のつけ根、膝とその裏、足首、そして足の指の間に舌を這わせる。 鴆の愛撫の一つ一つに身体は敏感に反応して、甘い声と共に震えた。 首筋も、臍も、足の指も、最初はただ、くすぐったがるだけだった。 最初に鴆の愛撫を覚えたのは唇で、その次は乳首。 それから幾度も行為を重ねるうちに、だんだん他の場所も鴆の唇や手に応えるようになった。 時には心が身体に追いつかず、戸惑っていたこともあったようだが、 リクオが鴆に心を許し、身体もまた鴆に応えてくれるのが、何よりもうれしい。 けれど恋に溺れる男の心は自分でも驚くほど貪欲で。 もっといろいろと教え込んで、いっそオレなしではいられない身体にしてしまいてえなあと、 張りつめたふくらはぎに軽く歯を立てながら、鴆はひっそりと不穏なことを考えるのだった。 |
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