緋襦袢で四十八手


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. 理非知らず(りひしらず) 後




「あっ…あんっ…」

骨ばった男の指は、乱暴な動きで内部をかき回す。

痛みを感じる程なのに、リクオの身体は勝手に快感を拾い、三本の指を歓迎するように締め付けた。

だが指を与えたのは愛撫のためなどではなく、ただ挿入しやすくするためだと言わんばかりに、

肉洞がほぐれたと見るや無造作に全ての指を引き抜き、縛った腿を抱えて切っ先をねじ込んだ。

「ああっ…あぁんっ…!」

脚を限界まで開かされ、猛ったものが無遠慮に奥を穿ってくる苦しさに、待ってくれと切れ切れに訴えるが、

聞き入れられることはなかった。

脚を開かされたことで、内腿の傷口がビリリと痛んだ。

だが内部を押し開かれる圧迫感に比べたら何てことはなかった。

熱くて大きな、堅い肉棒でいつもより奥まで乱暴に突かれる。

こんなのは嫌だ、と頭では思うのに、受け入れているそこはそれとは裏腹に、中で暴れている昂りにもっととねだるように絡みつく。

激しく揺さぶられる度に、はだけた赤い襦袢の絹布に擦れる乳首も、触れられてもいないのに、物欲しげに堅く勃っていた。

「こんなにぎゅうぎゅう締め付けて…ひどくされて感じんのかよ。見かけによらずやらしいんだな」

何故、自分はこんな扱いをうけなければならないのか。

自分をこんな身体にした、その張本人から蔑むように言われて、悔しさとやるせなさで、ぎゅっと閉じた目の端から涙がこぼれた。

「オレ以外の奴にそんなに犯られてえのか。

こんなところに傷つくりやがって。

大将が敵陣に突っ込むなって何度言わせりゃ気が済むんだよ」

冷たい鴆の声よりも、乱暴な抽挿よりも、太ももに食い込む指が与える痛みよりも、

内部を割り開く怒張の燃えるような熱が、痛みとともにリクオの心をも抉った。

「もうしません、って言えよ。そうすれば優しくしてやる」

ことさら乱暴に奥を突きながら、鴆が迫る。

一言も洩らすまいと歯を食いしばれば、傷口をつかまれた。

気が遠くなるような痛みと熱を感じながら、リクオはとうとう、声を押し殺したまま失神した。




「ったく、あんたの強情にはつける薬もねえよ…」

気がつけば戒めは解かれて、清潔な襦袢に着替えさせられ、鴆の腕の中にいた。

最中に開いたと思われた腿の傷も、手当しなおされたのだろう。ひどい痛みはなかった。

優しく髪を梳く大きな手は心地よく、緑色の瞳は、いつもどおりの穏やかなまなざしでリクオを見つめている。

「…大将は身体を張ってこそ、だろ」

発した声は、別人のようにかれていた。

大将の自分が先陣を切るからこそ士気も上がるし、第一、戦いの最中に後ろにひっこんでいるのは性分ではない。

いくらおまえの頼みでもそれは聞けないと言えば、鴆はリクオを抱き込んだまま、わかったよ、とため息をついた。

「…じゃあせめて、出入りの時にはももひきをはいてくれ」

「断る」




29前  30


 

拍手でMさまから
「ゼンさまに内緒で出入りに行って腿にケガして帰って来た夜若さまが
お仕置きで「理非知らず」なんてどうですか?

という素敵なご提案をいただき、おおっと思って書かせていただきましたが、
最後までお約束な展開ですみません;
ありがとうございました!(*^_^*)



裏越前屋